小泉大臣「僕は若いしパパになる」スピーチが残念なワケ
「日本の政治家」としては若いかもしれませんが、国際的には38歳の大臣はめずらしくありません。フランスのマクロン大統領は39歳で大統領に選ばれていますし、最近もフィンランドで34歳の女性首相が誕生して話題になったばかりです。
さらに「大臣が父親になる」こともフツーなこと。ニュージーランドでは現役の首相が産休を取ったくらいですから、わざわざ声を大にしてアピールするネタではないでしょう。
私が小泉大臣のスピーチでいちばん「残念」に思ったのは、「政権のなかで孤軍奮闘している」アピールです。「自身の考えが政府内で広がっていない」ものの、「自分は変化に向けて取り組んでいる」と発信していましたが、「結果」よりも「姿勢」をアピールする「いかにも日本的」な思考回路です。
「結果」が重視される海外では、「若い」とか「女性」とか「父親になる」といったことだけで評価されることはまずありません。たまに、「最年少で海外支店の支店長になった」「初の女性管理職に抜擢された」などと自慢する勘違いエリート駐在員がいますが、現地の人にとっては「だから、何?」と。
最年少だろうが初の女性管理職だろうが、「で、何をしたの?」「実績は?」と問われるだけです。
小泉大臣への海外メディアの評価は、中東のカタールに本社を置く衛生テレビ局アルジャジーラの、このひと言に尽きるでしょう。小泉大臣が将来の首相候補の一人だと紹介しつつ、次のように報じました。
His political future could be staked on whether he can persuade the rest of his government to reverse course on coal.
(彼の政治家としての将来は、石炭依存の政策を変えるよう政権内を説得できるかどうかにかかっている)
まさに「お手並み拝見」といったスタンスが読み取れますが、小泉大臣の「プレゼンス」が高まるかどうかは、これからの彼自身の実績にかかっていることは間違いありません。 小泉大臣には「日本の政治家の常識」を抜け出して、国際政治での存在感を増して欲しいものです。(井津川倫子)