「コンプライアンス=法令遵守」は誤った日本語訳 モラルがなければ道を踏み外す(大関暁夫)

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「非常に心苦しく思います」けど......

   しかし、ネットで調べてみると、同様の被害を嘆いたり怒ったりしている人はかなり多く、或る方の調べでは似たような詐欺まがいページはいずれも海外のグレー業者で合計10サイト近くもあるそうです。

   つまり、同様の被害者はかなりの数にのぼっているであろうことが想像に難くありません。私としてはこのまま黙って身の覚えのない手数料を取られるのは腹立たしいので、弁護士のアドバイスを参考しつつ、とりあえずクレジットカード会社に事情を話して不当請求として支払いを止めてもらう申し出をしてみることにしました。

   カード会社の窓口担当は、かなり親身になって相談には応じてくれました。しかし、その場での結論は、「ご事情はよくわかります。しなしながら業務手続き上、加盟店様からのお申し出以外は支払いの取り消しおよび停止は致しかねます。警察または裁判所からの正式な依頼であれば例外的にお受けできますが......。非常に心苦しく思います。申し訳ございません」というものでした。

   業務手続き上は、加盟店との契約上からの判断優先で、「被害者の泣き寝入り、黙認やむなし」ということなのでしょう。私も銀行にいたのでそのあたりはよくわかります。しかし、完全に詐欺的なやり口で次々善意の第三者から想定外の手数料を巻き上げるようなビジネスは、決して野放しにしていいものではありません。

   そこで、しかるべき管理者の方に対応を代わっていただき、再度業務上という観点を離れた視点で相談を続けました。

   具体的には、こちらが経験した流れを詳細に説明し実際に体感してもらうことでページのつくりを理解し、被害者がどのようなルートでそのページ変遷に取り込まれ、最終的にカード会社のカード決済に至るのかを検証してもらい、当該加盟店のビジネスモデルの不当性に理解を求める。その上で、業務上ではなく道義上の判断から、カード決済の停止並びに取引の解消の検討をしてもらいたいという申し出です。

大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。近著に「できる人だけが知っている仕事のコツと法則51」(エレファントブックス)。連載執筆にあたり経営者から若手に至るまで、仕事の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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