高給志向が本気なら...
「給料が安い」と感じるところにとどまっても、劇的に上がる可能性はほとんどないので「給料を上げたい」と思うなら、「転職」か「独立」あるいは「副業」を考えることになる。本書によると、稼げる可能性の高さの順は、(1)独立(2)転職(3)副業――だが、リスクも同じ順という。
著者が「独立したい」と相談をうけたら即、「やめたほうがいい」と答えるという。「そうアドバイスされただけで踏みとどまるのであれば、独立なんてやめたほうがいいと思うから」だ。待ったをかけられたくらいで回れ右をするようでは、成功はおぼつかないという。
だが「本気」な場合に限っては、転職でも独立でもトライしてみる価値はあるそうだ。「なぜなら、日本はリスクとリターンが歪んでいるから。失敗しても生活保護や再就職支援が手厚く『日本では絶対に死なない=リスクがじつは少ない国』。だから成功したらそれこそ儲けもの。腹を決めて決断することを私は勧める」
「給料」を理由に転職を考えながらもぐずぐずしている人には、背中を押してもらえる一冊。
本書ではほかに、「年金は払い損にならないか」「消費増税下の大物買いは損なのか」などのテーマについて、コストとリターンの面から論じていて、いずれも興味深い。
「日本人の給料はなぜこんなに安いのか 生活の中にある『コスト』と『リターン』の経済学」
坂口孝則著
SBクリエイティブ
税別830円