仕事に必要なことがよくわかる本
町丸さんは、香取さんの上司にあたる人です。そこでキツイ指導が待っていたのです。いまなら、パワハラになりそうなエピソードですが、これは数十年前の話。筆者がバイトをしていた有名なフライドチキンのお店でも似たようなことが行われていました。
「おぉ~、けっこううまく切れたよ!でもちゃんと床屋に行ってきたほうがいいね。香取さん、ちょっと調子に乗っていたでしょ! 見つからないと思って!」と町丸さん。
「はっ、はい」
香取さんは、しどろもどろです。
「見つからないわけないじゃん!」。ディズニーでは、とくに身だしなみについてのルールは厳しく、守れていない場合は現場に出ることが許されないのです。
本書を通じて、ディズニーランドでアルバイトを始めた著者が高校生時代に感じたこと、職場から学ぶ体験、緊張と失敗、戸惑い、感謝の気持がよくわかります。仕事を教える姿勢、サービスの考え方など、著者の試行錯誤から、読者に「気づき」を与えていきます。
サービス業に関わらず、一生懸命な気持ちは相手に響くものです。たとえば、ベテラン社員の豊富な知識は魅力でも、新人の一生懸命な気持ちと姿勢で「買おう」と思ったことはありませんか。
そこで働くキャストの一生懸命な思いが、ディズニーランドをつくっているのです。ゲストの「思い出」を大切にされるディズニーランドの姿勢が伝わってくる一冊です。(尾藤克之)