韓国では日本との関係悪化ばかりではなく、駐留米軍の負担金などをめぐり米国との対立も高まっている。
そんななか、駐韓大使の首をはねるパフォーマンで抗議する集会が開かれる。その名も「ハリス米大使斬首競演大会」。なんとも幼稚かつ無礼な集会だが、韓米関係は大丈夫なのか。韓国紙で読み解くと――。
「ハリス野郎のひげを1本ずつ抜いてやろう」
なにやら物騒だが、いったいどんな集会なのか――。朝鮮日報(2019年12月11日付)「韓国の親北団体、あす『米大使斬首競演大会』」が、こう伝えている。
「『ハリス野郎のひげを1本ずつ抜いてやろう』『割り箸でハリス野郎に拷問を加えてやる』『爪切りでハリスの口を引き裂いてやる』。(左派系団体の)国民主権連帯と青年党は12月13日午後4時からソウル市中区の米国大使館周辺で上記の内容を訴える『ハリス斬首競演大会』を開催する」
「ハリス斬首」とは穏やかではないが、ハリス氏とは、ハリー・ハリス駐韓米国大使(63)のこと。アメリカ太平洋軍司令官も務めた元米海軍の軍人で、2018年7月に着任した。ハリス氏の人形をつくり、それに思う存分いたずらをしたあげく、最後は人形の首をはねるというのである。
それにしても、左派系団体はなぜ、こんな過激なパフォーマンスをするのか。朝鮮日報は、こう続ける。
「主催団体は、ハリス大使が、文在寅(ムン・ジェイン)大統領を『従北左派』などと主張し、在韓米軍駐留費の5倍引き上げを強要するなど、まるで内政干渉を行う総督のように行動しているからなどと主張している」
これは、今年9月にハリス大使が与野党の議員と懇談した際、「文大統領が従北左派(編集部注:北朝鮮に迎合する左翼グループ)に囲まれているという報道があるが、どう思うか」と話したことを指す。この報道が伝わると、韓国の左派系の世論は激高した。駐在大使がその国の大統領をあからさまに批判することは珍しいからである。
また、ハリス大使は11月下旬、駐韓米軍の防衛費分担金をめぐる米国と韓国側の交渉の際も5倍増を迫る米国側に立ち、韓国国会議員に対して、「防衛費分担金を50億ドルに増額すべきだ」という発言を20回も繰り返した。
「本来、駐韓大使は韓国側の言い分を本国に伝える立場でもあるのに、傲慢無礼だ。外交官ではない」と与党・共に民主党の怒りを買った。「まるで、植民地の総督のように内政干渉をしている」というわけだ。