ブラックな構図を指摘する分析も
そもそも今回の残業代未支払い騒動の背景には、コンビニの持つブラックな面が表れたと分析的な意見もある。論点は2つ。1つはコンビニオーナーの段階で従業員の残業代を減らすべく、不正が行われているのではないかという点だ。もう1つはセブン本部の中でそうした不正を隠し続けてきたのではないかという点だ。
まず、コンビニオーナーの不正操作という意見から――。
「従業員の給料は、店のオーナーが報告してきた従業員の勤務時間にもとづいて本部が計算する。勤務時間は、従業員のネームプレートに記載されたバーコードをスキャンすることで出勤と退勤を記録する。しかし、オーナーにはこの勤務時間を操作・修正できる権限があり、これが一番の問題」
オーナー自身、劣悪な労働環境に置かれている。「本部から搾取されるオーナーが、立場の弱い店員をさらに搾取する」というコンビニが本質的に持つ構図が表れている可能性があるという分析だ。
もう一つ、本部の不正の可能性を指摘するのはこんな意見だ。
「残業代の計算式の誤りは、短期間なら考えられるが、10数年も気づかないのはあり得ない。絶対に誰か検算してみた人はいるし、気づいてアピールした社員もいたはずだ。顧問税理士は何をしていたのか。それに、残業代が支払われていないと会社に問い合わせてきた人も絶対にいたはずだ。それを会社として握りつぶして封印してきた、と捉えるべき事件ですよ」
(福田和郎)