【どこゆく子育て】子育て支援、ゆるっと前進 それでも、なお「幼児教育」を受けられない子どもがいる(鷲尾香一)

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   2019年10月1日から、子育て関連政策として幼稚園などの利用料金の無償化がスタートした。3~5歳児(0~2歳児は一部条件付き)の幼稚園などの利用料金の無償化は、「新しい経済政策パッケージ」「骨太の方針2018」「幼児教育無償化の制度の具体化に向けた方針」などを踏まえ、子ども・子育て関連3法(子ども・子育て支援法、認定こども園法の一部改正法、児童福祉法の一部改正等関係法律の整備法)により、幼稚園、保育所、認定こども園、地域型保育、企業主導型保育(標準的な利用料)を対象に実施された。

   安倍晋三政権が進める「子育て対策」が着実に成果を挙げつつあるが、その半面、預かり保育の遅れなどの課題も明確になってきている。

  • 子育て支援、進展はみられるものの……
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幼稚園は全国で1万474園、120万7884人の園児が通う

   2019年10月23日の文部科学省「幼児教育の現状」によると、2018年5月1日現在、幼稚園は1万474園あり、その内訳は国立49園(構成比0.5%)、公立3737園(35.7%)私立6688園(63.9%)となっている。国立に5330人、公立18万6762人、私立101万5792人の園児が通っており、園児の総数は120万7884人にのぼる。

   利用料金は一概には言えないものの、私立は国公立のおよそ2倍になることや、親としては「何となく、国公立のほうが保育内容も良く、見栄もある」という気持ちもあり、国公立の人気が高いが、その分、入園の競争倍率は高く、国公立への入園は難しい状況だ。

   ただ、利用料金は各種の補助もあり、実際には国公立と私立で大きな差はなくなっている。ちなみに、国公立は行政が運営しているため、教員は基本的に公務員だ。

   さて、幼稚園以外の保育施設の状況は、2018年度で認定こども園(幼保連携型)が4474園、保育所が2万9338園となっている。幼稚園を合わせた園児の総数は592万8000人で、その内訳は保育園が216万3000人(36.5%)、認定こども園が59万8000人(8.4%)、幼稚園が120万9000人(20.4%)となっており、そのほかに未就園児が122万8000人(20.7%)いる。

   統計の対象となっているのは0歳児から5歳児なので、幼稚園に入園できる3歳児未満の0~2歳児は保育園か認定こども園への入園となるため、当然、未就園児が多いのだが、未就園児は3歳児で5万1000人、4歳児で2万7000人、5歳児でも1万7000人いる。つまり、小学校入学まで幼児教育を受けさせていないということだ。

鷲尾香一(わしお・きょういち)
鷲尾香一(わしお・こういち)
経済ジャーナリスト
元ロイター通信編集委員。外国為替、債券、短期金融、株式の各市場を担当後、財務省、経済産業省、国土交通省、金融庁、検察庁、日本銀行、東京証券取引所などを担当。マクロ経済政策から企業ニュース、政治問題から社会問題まで、さまざまな分野で取材。執筆活動を行っている。
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