「日本のビールは飲まないし、日本車にも乗らない。だけどアダルトグッズは使いたい」―― というわけで、日本の「TENGA」が韓国の若者の人気を集めている。
韓国ではもう一つ「不動の人気」を誇るのが日本のアニメだが、なぜアダルトグッズも鉄板の人気なのか。韓国紙で読み解くと――。
ツイッターのキーワード、「不買運動」が2位に
聯合ニュース(2019年12月10日付)「ツイッター 今年の社会分野キーワード2位に『不買運動』」がこう伝える。
「ツイッターは12月10日、韓国で今年1年間、最も多く言及された社会分野のキーワードは『検察改革』で、2位は日本製品の『不買運動』だったと明らかにした。今年1月1日から11月15日にかけてのデータを分析した。特に、不買運動は同期間に計130万件に達する言及があり、日本製の電気製品や自動車、食品、化粧品などの情報が活発に共有された」
「検察改革」は2017年5月に文在寅(ムン・ジェイン)政権が発足して以来の最重要政治課題だ。特に今年に入って早々、チョ・グク前法務部長官の多くの疑惑が取り沙汰されてから、ネット上を席巻したキーワードになった。
一方、「不買運動」が始まったのは今年7月に日本政府が半導体部品に輸出管理を強化したからで、ネット上に広まったのは実質5か月間ということになる。それが、ほぼ1位の「検察改革」に匹敵する言及数になったのだから、いかに韓国社会が熱狂したかがわかる。
そんななか、不買運動にびくともしない人気を誇る日本製品がある。映画「天気の子」などのアニメとアダルトグッズだ。
日本の大手アダルトグッズメーカー「TENGA」が12月初旬、ソウルで開いたイベントの人気ぶりをスポーツソウル(2019年12月3日付)「日本不買運運動中でも韓国ではTENGAが人気。『僕の彼女』との声や限定商品も!!」が、こう伝える。
「『僕の彼女を紹介します』と言わんばかりに人気のTENGA。日本の性生活をサポートするセクシュアル・ヘルスケア企業TENGAグループが12月4~8日、第18回ソウル・デザインフェスティバルに参加する。同フェスティバルは、韓国最大規模のデザイン専門展示会だ。国内外の有名デザイナーを含めて250あまりのブランドが参加して史上最大規模で行われる。TENGAは2016年に韓国支社を設立して以来、3年連続してこのフェスティバルに参加している」
TENGAは日本でも、障害者のセックス問題に取り組み、商品のデザインを明るくファッショナブルにするなど、アダルトグッズのイメージアップに努めてきた。今年3月、百貨店としては初めて阪急メンズ東京(東京・有楽町)に出店し、話題になった。韓国に参入してわずか3年だが、昨年(2018年)のこのフェスティバルでは、押すな押すなの盛況だったため、スポーツソウル記者も事前取材に訪れたのだった。
グッズに「愛、自由、尊重、平和、幸福、思いやり」の言葉
スポーツソウル(12月3日付)は、こう続ける。
「展示されるすべての製品は誰でも拒否感なく使えるよう、『性器を対象化しない』というTENGAの企業哲学が盛り込まれている。韓国進出3周年記念として、韓国人グラフィックデザイナーのキム・ギジョがコラボした男性向け商品には、『愛、自由、尊重、平和、幸福、思いやり』の6つの韓国語が際立つデザインがお披露目される」
「また、女性用商品『iroha』も披露される。これらは成人用品としては世界で初めて世界3大デザインアワードである『レッドドットデザインアワード(Red Dot Design Award)』で計6回も受賞し、革新性と品質、機能などを認められた」
そして、スポーツソウルはこんなTENGA関係者の自信満々のコメントで結んでいる。
「TENGAは成人グッズのデザインに対する偏見を破っており、すでにどの領域の製品と比べても立派な製品デザインを評価されている。大人なら誰でも楽な環境でTENGAに会えるようにしており、展示期間中は多くの関心をお願いしたい」
(福田和郎)