政府が大号令をかける「働き方改革」。残業時間の削減や有給休暇の取得などに取り組む企業が増えて、就労環境はかなり改善されているように思えるが、じつは仕事と家庭を両立して働く女性に、「2019年は前年より働きやすくなった実感があるか」と聞いたところ、「ない」と答えた人が、なんと全体の約7割にのぼることがわかった。
主婦に特化した人材サービスのしゅふJOB総研が、働く主婦725人を対象に調査。2019年12月6日に発表した。
「働く女性が増えた」ことを実感
調査によると、2019年を振り返って、「2018年より女性が働きやすくなった実感があるか」の問いに、「ある」と回答した人は全体の約3割、30.3%にとどまった。69.7%の女性は、「働きやすくなった」という実感が「ない」と回答した。
また「働きやすくなった実感がある」と答えた人に、その理由を聞くと「働く女性が増えてきた」と答えた人は65.0%、「産育休や在宅勤務などの制度が充実してきた」が44.1%。「職場や社会の理解が進んできた」は43.2%、「家族の理解が進んできた」が25.9%、「女性管理職の数が増えてきた」は16.8%となっている。
次に、「2019年は、女性が働くことについて、どのような年だったと思うか」を聞いたところ、「転職や独立、在宅ワークなど、これまでより自由にキャリアを選べるようになった年」という人は、全体の約4割で38.2%だった。これを直近3か年で比較すると、2017年は32.5%、18年は36.9%と年々増加している。
その一方で、27.2%の人が「保育園不足やマタハラなど、働き続けることがこれまでより難しくなった年」と答えた。こちらは、17年の32.2%、18年の33.8%より減少しており、改善がうかがえる。
また、「企業が女性が働くことの価値をより認めるようになった年」が19.7%、「出産後も働き続けられるような環境が、より整うようになった年」は17.2%だった。
「来年は働きやすくなる」? 過半数に届かず......
さらに、「2020年は2019年より女性が働きやすくなると思うか」を聞いたところ、「思う」が40.7%、「思わない」が59.3%となった。
ただ、2019年に「働きやすくなった実感がある」と答えた人については、約8割が2020年も「働きやすくなるだろう」と回答している。
「働きやすくなると思う」という人に、その理由を聞くと「働く女性の数がさらに増える」が62.4%、「職場や社会の理解がさらに進む」は47.8%、「制度がさらに充実する」が40.7%だった。
しゅふJOB総研所長兼ヒトラボ編集長の川上敬太郎氏は、
「女性の活躍推進が言われるようになってから、法制度を含め、さまざまな変化が起きていますが、仕事と家庭の両立を希望する働く主婦層で、『働きやすくなった実感がある』と回答した人は3割にとどまりました。
一方、2020年の予測で、『働きやすくなる』という回答は40.7%と過半数に満たないことから、実際に『働きやすくなった』と実感したことがあるかないかで、未来への期待感は大きく変わると言えるでしょう。着々と進む制度改革が実感値を伴うようになるには、無理なく働けるようになった人の実例の数が、まだ不足していると考えられます。」
と、分析している。
なお、調査は2019年11月13日~22日、インターネットで実施した。