一進一退が続いている米中通商交渉は、2019年12月15日に期限が迫っている米国による対中追加関税第4弾の残り(携帯電話、ノートパソコンなど)が発動されるかどうかに、注目が集まっている。さらには、利下げの打ち止め観測が広がる米連邦公開市場委員会(FOMC、10~11日)に、12日の英国総選挙、欧州中央銀行(ECB)理事会と、株式市場や外国為替市場を左右するイベントが目白押しで、その影響が気になる。
日経平均株価は、11月26日の年初来高値2万3608円06銭の更新をめざす展開が期待されるが......。どうなる? 今週の株式・為替マーケット!
東京株式市場 トランプ米大統領「米中合意に期限はない」
日経平均株価予想レンジ:2万3200円~2万3700円
2019年12月6日(金)終値 2万3354円40銭
今週の東京株式市場の日経平均株価は、再び、年初来高値を目指す動きが期待される。
前週の日経平均株価は、小幅ながら上昇した。中国の11月製造業PMIが景気の分かれ目となる50を7か月ぶりに上回ったことが好感された。ただ、トランプ米大統領が米中貿易協議について「合意に期限はなく、2020年度の大統領選後まで延期できる」との考えを示唆したことが嫌気され、日経平均株価の上値を抑えた。
今週の日経平均株価は、神経質な展開の中で、再び年初来高値を目指す動きが期待できそうだ。最大の焦点は、米中貿易協議の行方だが、米国が15日に期限を迎える米国による対中追加関税前には第1段階の合意を見込んでいるとの報道が出たことで、米中による第1段階の合意に対する期待が高まっている。
ただ、引き続き、米中貿易協議関連の報道には注意が必要だ。なお、6日に発表された11月の米国雇用統計は市場の予想以上に改善したことから、10、11日のFOMC(米連邦公開市場委員会)での利下げ観測は後退している。
東京外国為替市場 12日の英国総選挙のゆくえは?
ドル・円予想レンジ:1ドル=108円00銭~109円50銭
2019年11月29日(金)終値 1ドル=108円59銭
今週の外国為替市場でドル円相場は、ドルの上値が重い展開となりそうだ。
前週のドル円相場は、ドルが弱含みで推移した。トランプ米大統領が米中貿易協議について「合意に期限はなく、2020年度の大統領選後まで延期できる」との考えを示唆したことを嫌気し、リスク回避のドル売りが入った。
今週のドル円相場は、ドルの上値が重い展開となりそうだ。6日に発表された11月の米国雇用統計が市場の予想以上に改善したことで、10日、11日のFOMC(米連邦公開市場委員会)での利下げ観測は後退しており、ドルの下値はカタそう。しかし、その半面、米中貿易協議の先行き不透明感がドルの上値を抑えることになりそうだ。
一方で、11日の11月米国消費者物価指数や13日の11月の米国小売り売上高が市場予想を下回れば、ドル売り材料となるので注意したい。
また、12日の英国総選挙、ECB(欧州中央銀行)定例理事会とラガルド総裁会見、EU(欧州連合)首脳会議にも注意が必要だ。
経済指標は、国内では9日に10月の国際収支、7~9月期GDP(国内総生産)確定値、11月の景気ウオッチャー調査、10日に11月工作機械受注、11日に10~12月期の法人企業景気予測調査、12日に10月機械受注、13日は12月の日銀短観などが予定されている。
海外では、10日に11月の中国消費者物価指数、米FOMC(11日まで)、11日に11月の米国消費者物価指数、パウエルFRB議長会見、12日にECB定例理事会、ラガルドECB総裁会見、13日に11月の米国小売り売上高などが予定されている。
(鷲尾香一)