職場でのコミュニケーション手段として、「1on1ミーティング」が推奨されている。
しかし、その制度について知っている人は34.8%、さらに導入している企業は全体の15%にとどまっていることが、求人情報サイトを運営するディップの調査でわかった。2019年12月4日に発表した。
職場の6割以上が「本音を言えない」
上司と部下が定期的に対話する「1対1ミーティング」。両者が「1対1」で向き合うとなると、通常は上司が一方的に業務目標や進捗管理をするイメージがあるが、「1on1」では上司が部下をサポートし、お互いの信頼関係を築くための対話の場とされている。
評価や管理のための人事面談とは異なるので、米シリコンバレーではすでに文化として根付いており、日本でも2012年から始まったヤフーの取り組みが注目されて以来、導入する会社が増えてきた。
そこで、2008年からこの制度を導入しているディップが、社会人2000人を対象に「1on1ミーティング」の導入実態を調査した。
調査によると、「1on1制度を知っているか」を聞いたところ、「聞いたことがある」と答えた人は34.8%。「聞いたことがない」と答えた人は65.2%だった。大手企業が導入して以来、ビジネスの世界で注目を集めつつあるものの、実際の認知度はまだ低いことがうかがえる。
「1on1を聞いたことがある」と回答した人に、「勤務先の1on1導入状況」を聞くと、「取り入れている」が41.8%で、「取り入れていない」が58.2%と、1on1を導入しているのは全体の約15%にとどまった。
続いて、「直近1か月で上司に褒められたいと思ったことがあるかどうか」を聞いたところ、「ある」と答えた人は51.7%。「ない」と答えた人は48.3%だった。また、「一週間以内に上司に褒められたかどうか」を聞くと、「褒められた」が34.4%で、「褒められていない」が65.6%だった。
褒められたいと思ったことがある人が約半数、その一方で6割以上が褒められていないという結果から、上司と部下のあいだで、「褒める」コミュニケーションがあまりとれていない様子がうかがえる。
ちなみに、「同僚に悩み事や本音を言えるか」を聞いたところ、「言える」が46.2%。「言えない」は57.8%だった。比較的話しやすいであろう同僚であっても、悩みを相談すること、打ち明けることが難しい現状を浮き彫りにした。
なお、ディップではこの1on1ミーティングを会社制度「ツキイチ」として毎月定期的に行い、仕事での体験や成長、気付き、悩みなどを、上司と部下で先月の業務を振り返りながら共有している。
調査は、全国の企業に勤める22歳~65歳の男女2000人を対象に、2019年11月にインターネットで実施した。