OECD調査でも......
読解力は大別して、例題のような「同義文判定」、代名詞などが指す内容を認識する「照応解決」や「係り受け解析」などの文の構造を理解する能力と、基本的知識などから論理的に判断する「推論」、文と図表などの非言語情報を正しく対応づける「イメージ同定」、定義と合致する具体例を認識する「具体例同定」などの文の意味を理解する能力があるという。どの読解力が不得意かによって、対処方法も変わる。
経済協力開発機構(OECD)はこのほど、79か国・地域の15歳約60万人の生徒を対象に、2018年に行った学習到達度調査(PISA)の結果を公表したが、それによると、日本は「読解力」で15位と、前回15年調査の8位から順位を下げた。PISAは3年に1回実施。日本の「読解力」は、2003年に、それまでのトップクラスから14位と大きく順位を下げ、文部科学省が「脱ゆとり教育」を本格化させた経緯がある。12年調査で4位まで回復したが、15年に8位に下がり、そして今回また低下した。
RSTで自分の読解力の程度を知り、苦手な分野がわかれば、その分野の強化に努め改善をはかる必要があるという。本書のタイトルは「AIに負けない子どもを育てる」だが、大人でも、自分では「読めてる」と思っている人でも、読めていないことが多いのが実情という。2020年以降に間違いなくくるAI時代の本格化に備えて、また、グローバル化のなかで各国と伍していくためにも、さまざまな人にとって有用な一冊になりそうだ。
「AIに負けない子どもを育てる」
新井紀子著
東洋経済新報社
税別1600円