【日韓経済戦争 番外編】相次ぐ自殺、待ち受ける「芸能人ストレス」 韓国女性アイドルの美貌の作られ方に見る韓国芸能界の闇(前編)

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   元「KARA」の韓国女性アイドル、ク・ハラさん(28)が2019年11月24日、ソウル市内の自宅で自殺しているのが発見された。

   韓国の芸能界では最近、自殺するアイドルや、自分から「うつになった」と告白する人が増えている。

   いったい、何が韓国の芸能界で起こっているのか――。「韓国芸能界の闇」を追求した韓国紙の2本のリポートを紹介する。

  • ク・ハラさんの死を伝える中央日報(2019年11月26日付)
    ク・ハラさんの死を伝える中央日報(2019年11月26日付)
  • ク・ハラさんの死を伝える中央日報(2019年11月26日付)

10代の激しい練習に生き残る練習生はごくわずか

   朝鮮日報(2019年11月29日付)「コラム:芸能人という過酷な職業」で、韓賢祐(ハン・ヒョンウ)論説委員は、「10代半ばから練習ばかりでスポットライトを浴び、ステージに立っても非難を浴びてパニックに...社会が彼らを死に追いやる」として、韓国人女性アイドルの作られ方を、こう告発している。

「韓国のアイドルは20歳前後でデビューするが、ほとんどが中高生のころから学業そっちのけで練習生として訓練される。毎日練習室に出てきて基礎体力・振り付け・歌などの時間割に基づいて夜遅くまで週6日間練習する。こうした過程を経て、2~3年後にデビューできれば運がいいほうだ」

   デビューできなければ、それだけ時間や費用がさらにかかる。デビューするのに6~7年かかり、コストが1グループ当たり10億ウォン(約9300万円)かかるケースもある。苦労してデビューしても、1年以内に「秀」か「不可」かどちらかしかない成績表をもらう。その成績は、たくさん練習したからと言って上がることは決してないのだ。

   通常、ほかのグループのメンバーとして再デビューし、あらためて成績表を受け取る方法を選択する。こうした過程を2回ぐらいしてもスターになれなかった時、20代前半のアイドル志望者が抱える挫折感はとてつもなく大きいものとなる。

   ところが、デビューに成功しても大きい落とし穴が待っているのだ。朝鮮日報は、こう続ける。

「アイドルには『芸能人ストレス』が待っている。まず、いろいろなテレビ番組に出なければならないが、これが並大抵の悩みのタネではない。習ったのはダンスや歌だけなのに、トークで笑わせたり珍しい芸を見せたりしなければならない。そのような番組に出て顔が売れないと、出演料の高いイベントやCM出演のオファーが来ない」

デビューに成功しても待っているさらなる悲劇

   デビューさせてくれたテレビ局の顔色を見なければならないので、断ることもできない。トークのネタがないから、練習生時代のエピソードや毎日一緒にいるマネジャーの話をするしかない。ダンス・歌・トーク番組まで何とかクリアすれば、「マルチタレント」という称号が得られる。

   これくらいになって、やっと芸能事務所との契約が満了する時期が来る。ところが、その時期から本当の悲劇が待っているのだ。

   朝鮮日報はこう続ける。

「このころには好きな人もできるし、所属事務所が厳しく禁止していたプライベートについても欲が強くなる。そんなこんなで大小のスキャンダルが降って湧く。耐えられないほどの非難や冷笑、悪意のあるデマがインターネット上に広まる。10代半ばから厳しい練習だけをしてきて、ある日、スポットライトを浴びてステージに立つようになった彼らの人生が突然、激しく揺れるのだ」

   「どうやって生きていけばいいのか」を教えてくれる大人には一人も会えないまま、スマホを手に夜を明かす。芸能人を商品としか考えず、人格教育に一銭も投資しない芸能事務所、彼らを視聴率という道具としてだけ使うテレビ局、そうした商品を、何の批判もなく消費する視聴者が固く結ばれ、輪になって芸能人に襲いかかってくる。

   朝鮮日報は、

「この輪を何とか変えなければ、芸能人という過酷な職業に耐えきれず、最悪の選択をするケースが後を断たないだろう」

と結んでいる。(福田和郎)

(つづく)

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