デビューに成功しても待っているさらなる悲劇
デビューさせてくれたテレビ局の顔色を見なければならないので、断ることもできない。トークのネタがないから、練習生時代のエピソードや毎日一緒にいるマネジャーの話をするしかない。ダンス・歌・トーク番組まで何とかクリアすれば、「マルチタレント」という称号が得られる。
これくらいになって、やっと芸能事務所との契約が満了する時期が来る。ところが、その時期から本当の悲劇が待っているのだ。
朝鮮日報はこう続ける。
「このころには好きな人もできるし、所属事務所が厳しく禁止していたプライベートについても欲が強くなる。そんなこんなで大小のスキャンダルが降って湧く。耐えられないほどの非難や冷笑、悪意のあるデマがインターネット上に広まる。10代半ばから厳しい練習だけをしてきて、ある日、スポットライトを浴びてステージに立つようになった彼らの人生が突然、激しく揺れるのだ」
「どうやって生きていけばいいのか」を教えてくれる大人には一人も会えないまま、スマホを手に夜を明かす。芸能人を商品としか考えず、人格教育に一銭も投資しない芸能事務所、彼らを視聴率という道具としてだけ使うテレビ局、そうした商品を、何の批判もなく消費する視聴者が固く結ばれ、輪になって芸能人に襲いかかってくる。
朝鮮日報は、
「この輪を何とか変えなければ、芸能人という過酷な職業に耐えきれず、最悪の選択をするケースが後を断たないだろう」
と結んでいる。(福田和郎)
(つづく)