味の素の「働き方改革」はなぜできたのか? 業務の進行を妨げていた「時間泥棒」の正体はこれだ!

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「2020年には1日7時間労働を」

   味の素の西井孝明社長は2015年の就任と同時に働き方改革をスタート。南米ブラジルでの勤務経験などから、残業を前提とした日本の就労スタイルが世界の中では特殊であることに気づいた。「欧米企業では、同じパフォーマンスを上げても長い時間働く社員は能力がないとみなされる。その上司も、マネジメント能力がないとマイナスに評価される。生産性に対する目が厳しい中で雇用が成り立っているので、個人も時間管理がきちんとできている」という。

   高度経済成長期には人口が増えていたので、一定の品質の製品を大量に作ることで企業は売上を確保できた。生産量は労働時間とほぼ比例しており、残業して生産量を増やせば、その分、売上も伸びる。大量生産、大量消費時代は長時間労働が経営に有効だった。そうした時代には人材の多様性は求められていなかったが、現代では、商品や販路などの開発は欠かせない。欧米など国外のメーカーも競争相手となり、そのニーズは増すばかり。西井社長は、グローバル企業と戦うには、日本式では通用しないことを実感して改革の号令をかけた。

   労働時間縮減で、営業部門以上に困難とみられた、24時間稼働の生産部門でも、勤務内容の見直し、ITの活用で時短は可能な見込みが立っているという。西井社長は「2020年には1日7時間労働を目指したい」と述べ、残業を前提とした日本型の働き方から間もなく、定時退社が通常のグローバル基準の働き方に転換する計画を示している。

「味の素『残業ゼロ』改革」
石塚由紀夫著
日本経済新聞出版社
税別1600円

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