道路交通法の改正で、2019年12月1日から運転中のスマートフォンの保持に罰金が科せられるようになった。普通車で1万8000円に、加えて「交通の危険」を生じさせた場合は運転免許の停止(6点減点)、さらには1年以下の懲役または30万円以下の罰金と、大幅に厳罰化された。
その一方で、クルマの中で安全かつ適法に、スマホを利用したいというニーズが高まっている。最近はカーナビ機能もスマホの地図情報の案内で事足りるようになってきた。
そうしたなか、クルマやバイクとスマホを連携させて、車載機からスマホのアプリを安全に操作できる「SDL(Smart Device Link)」規格が注目され、SDL対応アプリの開発に熱が入ってきた。
大学や高専・高校、個人、チームと多彩な顔ぶれ
トヨタ自動車が今年9月に発売。売れ行きが好調な新型カローラの「売り」のひとつが、SDLへの対応だ。スマホのサービスを積極的に利用する若者を意識して標準搭載した。ダイハツをはじめ、他の自動車メーカーも今後はSDL対応車を投入する見通しという。
そうしたことから、スマホを使うことでクルマの運転がもっと安全に楽しくなる、そんなクルマとスマホの「いい関係」を築くSDLアプリの開発が動きだした。
SDLアプリとは、スマホと車載器を連携するためのオープンソースで、インターネットでは車載器向けのライブラリ、iOS、Android向けのSDL開発キットなどが提供されている。
11月22日に開かれた「SDLアプリコンテスト2019」(SDLアプリコンテスト実行委員会)の最終審査会・授賞式には、
(1)安全支援型Music Player 音助 (九州産業大学理工学部合志研究室&情報システム研究会)
(2)SDLratch (Plzayanz h)
(3)お風呂にしますか? お風呂にしますか?それとも...... お風呂?(函館高専プロコン研究会)
(4)シェアレコ (猿出没注意)
(5)SpiCar (PatchWorks)
(6)とらっくら!(ブラック学生inホワイトラボ)
(7)ハッキング小峠(チームBHB)
(8)駅の道合戦(河野祥平)
(9)ミチログ(チームK)
(10)優良ドライバーチェッカー(開発若葉マーク)
―― の第1次選考を通過した10作品が出展。審査員の東京大学大学院情報学環教授の歴本純一氏(審査委員長)、ITジャーナリスト・スマホ安全アドバイザーの鈴木明子氏、開発者/AR三兄弟長男の川田十夢氏、トヨタ自動車の山本昭雄ITS・コネクテッド統括部長を招き、最終プレゼンテーションを繰り広げた。
入賞者は大学、高専・高校、一般と広範囲にわたり、なかには児童とのコラボでの開発アプリであるなど多彩で、内容も運転(ハンドル)操作(小回り・大回り、車間距離、歩行者との兼ね合い)、居眠り防止、逆走検知、運転手の視野(カーナビに気をとられる)、家電の自動起動など、まだ初歩的な試みではあるがユニークな着眼のアプリが続々と発表された。