北海道の新聞が告発 「労働者虐待死」の写真が元か?
そもそもこの騒ぎはどうして起こったのか――。2019年3月、朝鮮日報などの韓国メディアが衝撃的なニュースを流した。韓国で小学校6年生の歴史教科書などに掲載されている、日本の朝鮮半島統治時代の徴用された朝鮮人労働者の写真が、じつは日本人労働者の写真ではないか、と報じたのだ。写真は上半身が裸で、あばら骨が一本一本浮き出てわかるほど無残にやせこけている。「強制労役に動員されるわが民族」という説明がついている。
しかし、この写真は1926年9月に、北海道にあった旭川新聞が道路建設現場での労働者虐待致死事件を報じた際のものだという疑いがあるという。旭川新聞は「惨酷極まる土工の虐待 まさに戦慄覚えしむ被害者の実話」という見出しで、強制労働に狩り出されて餓死者まで出る日本人労働者たちの悲惨な実態を告発した。写真には餓死寸前の労働者数人が写っており、そのうちの1人が韓国の教科書の写真にそっくりだというわけだ。
そして、キム夫妻に訴えられた5人は、「キム夫妻はこの日本人の写真をもとに徴用工像を作った」と批判したのだ。
しかし、中央日報によると、キム夫妻はこう反論したのだった。
「徴用に対する悩みと歴史が労働者像に込められなければならなかったため、私たちは特定人物をモデルにせずに、私たちが構想したイメージで作った。労働者像のあちこちにも作家の想像的表現を込めた」
つまり、あくまで作家として想像力の産物であり、教科書などの写真は参考にしていないというのだ。