【どこゆく子育て】2019年の出生数、とうとう90万人割れ 減少を「悲観」して終わりの無策の果て......(鷲尾香一)

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アップデートされていない「欠陥」データでの推計

   さて、近年の出生数の減少ペースは、2016年が前年比で約2万9000人(2.9%減)、2017年が約3万人(3.2%減)、2018年が約2万8000人(2.9%減)となっている。

   つまり、近年の傾向では、出生数は平均3%の減少が予測できる。2018年の出生者数91万8397人から3%減少すると推計すれば、2万7551人の減少となり、推計される2019年の出生者数は89万0846人となる。出生数の90万人割れは予測できるということだ。

   これは、筆者が作成した以下の合計特殊出生率の推移から見てもわかるように、近年の合計特殊出生率は1.4人前半で推移しており、2019年についても合計特殊出生率が大きく低下しているわけではない。

   すなわち、これは国立社会保障・人口問題研究所が2017年にまとめた推計が「甘かった」ということであり、推計自体をアップデートされていないことに要因があるといえる。

<合計特殊出生数の推移>

1974年  2.05人
1975年  1.91人
1976年  1.85人
1978年  1.79人
1987年  1.69人
1989年  1.57人
1993年  1.46人
1997年  1.39人
2003年  1.29人
2005年  1.26人
2006年  1.32人
2012年  1.41人
2015年  1.45人
2016年  1.44人
2017年  1.43人
2018年  1.42人

   問題は出生数の減少を悲観視するのではなく、出生数の減少に歯止めをかけ、少子化を打開するために、出産や子育てに有効な環境づくりを早急に進めていくことにある。(鷲尾香一)

鷲尾香一(わしお・きょういち)
鷲尾香一(わしお・こういち)
経済ジャーナリスト
元ロイター通信編集委員。外国為替、債券、短期金融、株式の各市場を担当後、財務省、経済産業省、国土交通省、金融庁、検察庁、日本銀行、東京証券取引所などを担当。マクロ経済政策から企業ニュース、政治問題から社会問題まで、さまざまな分野で取材。執筆活動を行っている。
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