漫画への愛情が人との出会いを生む
オススメの本として奥から出してくれたのは「由紀夫くん」(池田理代子)と「湖の少女」(ふるやムツ子:古谷三敏)の2冊だ。「由紀夫くん」は「ベルサイユの薔薇」で知られる池田理代子先生のデビュー作。今でも人気が高いという。「湖の少女」はストーリーが面白いと話す。どちらも、悩みながら選んでくれた。
「売れ行きってのも難しいなぁ」と出してくれたのは1964年の「週刊少女フレンド」は外国人の少女のカラー写真が表紙を飾る。「雑誌の中ではこのあたりのフレンドはよく売れる。懐かしむお客さんが多い」そうだ。
藤下さん自身も漫画家と交流が深く、同人誌の印刷販売を請負ったり、原稿を寄稿し作品に参加したりと、忙しい合間を縫ってアクティブに活動されている。これまで、くだん書房は漫画関係のさまざまなイベントを主催してきた。
古書販売の未来を楽観視しているわけではないが、藤下さんの考えは前向きだ。「本は並べるだけで売れるわけではない。骨董品的な意味を持った古書販売と合わせて、今後は同人誌や原画の販売など広げていきたいと考えている」と語る。
「昔の作品はもちろん馴染み深いが、同人活動に参加することで、今の若い作家の作品などから刺激を受ける。くだん書房を支えてくれるのはそういった場での『出会い』や『縁』が大きい。これからも大事にして、工夫してなんとかやっていきたい」と、笑った。(なかざわ とも)
◆オススメのイベント情報◆
●「大青林工藝舎祭」
2019年11月16日~12月20日。神保町ブックカフェ二十世紀で、青林工藝舎の書籍やグッズを展示販売する。
●「漫画の手帖40周年展」
2020年1月9日~23日。東京古書会館2階 情報コーナーで40年以上続く同人誌「漫画の手帖」のほぼすべての刊行物を展示する。
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