働く女性の怒りを買った投稿者の一言
J-CASTニュース会社ウォッチ編集部では、女性の働き方に詳しい、主婦に特化した就労支援サービスを展開するビースタイルの調査機関「しゅふJOB総研」の川上敬太郎所長に、この「働いてないってそんなにいけないことなのか」論争の意見を求めた。
――今回の投稿に対する反応を読み、率直にどんな感想を持ちましたか?
川上敬太郎さん「個人的なことですが、まず投稿者さんの家族状況が、わが家とまったく同じことであることに驚きました。4人の子がいて、下2人が双子という順番まで一緒なのです(笑)。それだけに、日々の育児はきっと大変なことと思います。わが家の場合は、わんぱく坊主2人とおてんば娘2人だったので、子どもが幼いころは毎日が戦争状態でした」
「私の妻は、結婚後しばらくは働いていましたが、終電が続く日もあるほどハードな環境だった反動もあり、長男が生まれた時に自ら専業主婦の道を選択しました。今は働いていますが、専業主婦だった15年間も十分ハードな毎日でした。私には、同じことを専業主夫としてできる自信はありません。わが妻ながら本当にすごい人だと思っています」
「なので、同じ4人の子育てに勤しむ投稿者さんが、専業主婦であることがいけないことのように周囲から言われたということに驚きました。私の妻の場合は、そんな経験ありませんでしたから。育児においては、手がかかる子もいれば、かからない子もいます。障がいのある子もいます。人数の多い少ないに関係なく子育ては大変です。ひと口に専業主婦といっても実態はさまざまです」
――確かにそうですね。それにしても、J-CASTニュース会社ウォッチでは何度も専業主婦をめぐる論争を取り上げてきましたが、今回のように憲法第27条の「勤労の義務」や「社会貢献」「税金泥棒」という言葉まで出して専業主婦を厳しく批判する人が多いケースは初めてです。
川上さん「気になったのは、投稿者さんが書かれている『働く必要があるなら働きます、ないから働いていないだけ』という一言です。この言葉の意味を裏返すと、『あなたたちも働く必要がないなら働かないはず、必要だから働いているんでしょ』という意味にも受け取れてしまいます。この一言が、大きな波紋を広げたと思われます」
「働いていると、つらいことや悲しくなることもあります。そういう時には働きたくないなと思うことがあるものです。そんなストレスを背負いながら生活している人にとって、この一言は『あなたたちは、働かなければならないから働いているんでしょ。私は違うけど』というメッセージに伝わりかねません。投稿者さんが社会に出て働いた経験がないということとも相まって、働いている人の気持ちがわからない、嫌味なメッセージに受け取った人が多くいたと思います。投稿者さんも、余計な反感を買わないよう、日々の言動の配慮はされた方がよいかと思います」