就職活動をなんとかこなして、晴れて社会人になったあとなのに、「学生時代に戻りたい」と思う人は少なくないという。メディア事業などを行っているベースメントアップスが運営する「退職前に読むサイト」が行った調査によると、回答者の8割以上が、回帰願望を持っていると回答した。2019年11月23日の発表。
「自由がない」ことを実感
調査では、「学生時代に戻りたいと思うか?」という問いに、61%が「とても戻りたい」と回答。「少し戻りたい」(21%)と合わせ、82%がキャンパスへの回帰願望を持っていることがわかった。ほかは、「どちらでも良い」が10%、「戻りたくない」は8%だった。
「退職前に読むサイト」編集部では、欧米の社会学者らの研究に関連づけて、結果を分析している。その研究によると、約5年ごとに行われている「世界価値観調査」で、日本は人生の自由度の観点で調査対象の55か国中最も低い点数。社会人になると「自由」でないことを実感するようになり、「自由度の高かった学生時代に戻りたいと思うことは不思議ではない」としている。
また、学生時代には学内での所属サークルや進路など、行動の選択権は自分にあったが、社会人になると、とくに最初のうちは配属部署や業務など、会社の指示で動くケースが多い。「学生時代に戻りたい」と嘆くのは、新社会人に多いが、それは「当事者意識」を持てず、やりがいが湧いてこないためという。
毎日同じことを繰り返す作業にうんざりして仕事に充実感がないことや、学生時代のような親密な人間関係を築けていない、仕事とプライベートを切り分けている人が多いこと、学生時代に「やっておけばよかった」と思うことがある、あきらめきれない夢があることなどがあるという。
「退職前に読むサイト」編集部は、現在の仕事を、見る角度を変えて「熱中」するよう試みるか、起業や転職を選択肢に考えることを勧めている。
なお、調査は「仕事に関する意識調査」として2019年11月8日~15日に、インターネットを使って実施。235人から回答を得た。