2019年も残すところ、あと1か月である。
今年の株式市場を振り返ってみると、日経平均株価は年初から4月にかけては前年の10月から12月にかけての世界的な株価急落に見舞われた後の反発もあって、堅調に推移していた。
しかし、5月から本格化した米中関税戦争、6月から始まった香港民主化デモなどの影響を受けて、今夏の株価は不安定な推移となった。9月以降は回復基調にあり、10月は年初来高値を更新する流れとなった。執筆時(11月下旬)においても、日経平均株価の上昇傾向は継続している。大波小波、いろいろあった。
株式市場にとって「年末年始」は特別な日
ところで、相場の「アノマリー」と呼ばれる、明確な根拠はないがそのような傾向があるとされる、相場の経験則の数々によると、相場は「夏場に軟調になりやすく、冬場は堅調に推移する」ことが多いようだ。
「アノマリー」によれば、5月から10月は株価が下がりやすく、11月から4月は株価が上がりやすいとされる。今年も、概ねそのように推移している。
「アノマリー」によれば、特に年末年始は株価が堅調に推移しやすい、とされるようだ。その通説は「本物」なのか――。データを使って検証することにした。
年末年始は、株式市場にとっても特別な意味を持つ日がある。それは、その年の株式市場の最終営業日を意味する「大納会」と、翌年の最初の株式市場の営業日を意味する「大発会」があるから。いずれの日も、取引所では特別なセレモニーが開催される。
ちなみに、2019年は12月30日(月)が「大納会」、2020年は1月6日(月)が「大発会」に当たる。
では、その特別な日に株式を取引した場合の損益は、どのようになっているのだろうか。まずは、年末の「大納会」の寄り付き(午前9時の取引開始時点の株価)で日経平均株価を買って、大引け(15時の取引終了時点の株価)で売ったと仮定した場合の、損益を計算してみた。
なお、使用したのは1999年から2018年までの、20年間の取引最終日のデータだ。
年末の「大納会」の寄り付きで買い、大引けで売った場合のトレード結果は、上昇した年が9回、下落した年が11回で、総損益はマイナスという結果となった。どうやら、年末はあまり株価が上昇しやすいとはいえないようだ。
「大発会」の寄り付きで株式を買ったら......
では同様に、日経平均株価を年始の「大発会」の寄り付きで買って、大引けで売ったとしたら、どのような結果となっていたのだろうか?
トータルの収支がマイナスだった「大納会」とは対照的に、「大発会」にトレードした場合、上昇した年が15回、下落した年が5回で、総損益はプラスとなった。どうやら、年初は年末と比べて株価が上昇しやすい傾向があるようだ。
では、なぜこのような値動きの傾向が表れるのだろうか――。その説明の例として、挙げられるのが、日本の株式市場の売買代金の6割から7割を占める海外投資家がクリスマスから年末年始にかけての長期休暇に入るための一時的な出来高の低迷、個人投資家らの納税のためのポジション調整、機関投資家の年度またぎのためのポジション調整などだ。
そうした要因のため、年末は一時的な売りが入ることが少なくないものの、年始に買い戻しが入ることがある、とされる。
2019年は夏場に低調な株式相場となったものの、その前後は堅調な推移だった。2020年も、株式相場の上昇を期待したいところだ。(ブラックスワン)