孫社長はいかに? 巨大企業のワンマン社長は「独裁経営」のリスクを悟れるのか!(大関暁夫)

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注目される孫正義氏の去就

   なぜこんなことが起きてしまったのか――。これはアリババという巨大ビジネスグループが、創業オーナーであるジャック・マー氏のワンマン経営によって、次々と営利ビジネスを拡大し巨大化してきたことの弊害であると言えます。ワンマン経営は結果的に経営者個人が強権を持つようになり、経営者が善とする営利目的のビジネスモデルに対して、その弊害を検証する等の牽制が働かなくなるというリスクを抱えることになるのです。

   すなわち、個人情報は使われ方によっては利用者に利便性と裏腹に大きな反社会的不利益をも与えかねない、ということを芝麻信用のビジネスは教えてくれており、同時に牽制の働かないワンマン経営組織で膨大な個人情報を扱うことの怖さをも物語っているのです。

   今般LINEを統合するヤフーは、いまや我が国を代表する巨大ビジネス集団、ソフトバンクグループの一員です。ソフトバンクグループは創業者である孫正義氏のワンマンオーナー経営であり、いわばジャック・マー氏とアリババグループとの関係と同じ状況にあると言えます。

   孫氏が今後信用スコアリングビジネスで、ジャック・マー氏と同じ過ちを犯すだろうとは申しませんが、未知・未開のビジネスでの個人情報取扱に独裁経営のリスクが伴うことには何ら変わりがありません。つまり、孫正義氏の独裁経営企業体ソフトバンクグループのヤフーとLINEが統合して生まれる巨大情報産業企業体は、孫氏の支配下にある限り独裁経営であるが故の大きなリスクを感じざるを得ないのです。

   ちなみにジャック・マー氏は、「アリババは個人の資質に依存した体質から、組織や人材、カルチャーを軸とした企業へとステップを登ります」とのコメントを残して、今年9月54歳の若さでトップの座を降りています。

   経営者は、自身が独裁経営を続けることのリスクを悟り後任にバトンが渡すことが最後の重要な仕事でもあります。孫正義氏がいつそれを悟るのか、今回の統合の成否はそこにかかっているように思います。(大関暁夫)

大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。近著に「できる人だけが知っている仕事のコツと法則51」(エレファントブックス)。連載執筆にあたり経営者から若手に至るまで、仕事の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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