2019年11月23日午前0時に失効が迫る日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA、ジーソミア)をめぐり、日韓両政府は直前までギリギリの交渉を行っているが、終了の公算が強まっている。
韓国側が「日本の対応変化」を終了回避の条件にしているが、日本側が応じる構えがないからだ。
そうしたなか、GSOMIA終了で得をするのは、中国や北朝鮮ではなく、じつは米国のトランプ大統領という見方が韓国メディアに広がっている。いったいどういうことか。韓国紙で読み解くと――。
【追記】2019年11月22日午後4時56分、韓国政府は日本政府に「GSOMIA終了の停止」を伝えてきた。日韓の各メディアが一斉に報じた。
日韓双方の世論調査「終了やむなし」が大勢
GSOMIAの終了(11月23日午前0時)が迫った11月20日、青瓦台(韓国大統領府)前の広場が、にわかに騒がしくなった。その模様を、聯合ニュース(2019年11月20日付)「韓国最大野党代表がハンスト開始 日本とのGSOMIA維持など要求」が、こう伝える。
「韓国最大野党・自由韓国党のファン・ギョアン代表は20日、青瓦台前の広場で記者会見を行い、無期限のハンガーストライキに突入すると宣言し、『死を覚悟する』と述べた。ファン氏は文在寅(ムン・ジェイン)大統領に対し、GSOMIA終了の撤回などを要求し、要求が受け入れられるまでハンストを続けるとした」
ファン氏は、日本とのGSOMIA終了を決定したことについて、日本との経済的な摩擦を安全保障の問題に結びつけたと指摘。「米国を巻き込むさらに大きな安保戦争と経済戦争の中に韓国を追いやった」と批判したのだ。
ただ、「死を覚悟する」といっても本当に死ぬまで断食するわけではない。ハンストは韓国の政治家や活動家がよくやる政治パフォーマンスの一つだ。ファン氏は今年9月にも、親族の疑惑が取り沙汰された「疑惑のタマネギ男」ことチョ・グク氏の法相任命に抗議して、バリカンで頭を丸刈りにするパフォーマンスを行った。丸刈りも韓国では日常茶飯事のパフォーマンスなのだ。
GSOMIAの終了については、韓国も日本も一般世論は「やむを得ない」が大勢だ。世論調査会社の韓国ギャラップが11月22日に発表した調査結果によると、回答者の51%が政府の終了決定に賛成すると答えた。反対すると答えたのは29%だった。
一方、日本の世論も「やむなし」と考えている。産経新聞とFNN(フジニュースネットワーク)が11月18日に発表した世論調査の結果でも、「破棄はやむをえない」が68.3%、「日本政府が対応を変えてでも延長されるべきだ」が14.4%だった。