氷山の一角に過ぎないとの見方も
産業別にみると、最多は卸売業の7件。前年同期では1件だった。建設業、製造業、サービス業他が各2件、農・林・漁・鉱業、小売業、運輸業が各1件。資本金別では「1000万円以上5000万円未満」が10件で最多。次いで「5000万円以上1億円未満」が4件、「1億円以上」と「100万円以上500万円未満」が各1件。
資本金1億円以上の事例は、埼玉県の人気やきとりチェーン「ひびき」(負債額77億900万円)。税金滞納を解消するため、架空売り上げで粉飾。納税資金を金融機関から調達していたが、震災などで売上減に陥り、これを隠蔽するため架空売り上げを計上していた。
都道府県別では、東京都が5件で最多。次いで、埼玉県3件、福岡県と大阪府、千葉県が各2件、鳥取県、富山県が各1件だった。
倒産の急増で、にわかに粉飾決算への注目が高まっているが、現状は氷山の一角に過ぎないとの見方もある。2003年5月に個人情報保護法が成立し、顧客情報保護の観点から金融機関同士の横のつながりが希薄になっており、これを悪用したとみられる粉飾決算も少なくないという。
金融機関に事業性評価が浸透し、度重なるヒアリングで粉飾決算が露呈するケースもあり、今後も「粉飾倒産」の発覚が増える可能性は高い。2017年以来2年ぶりに20件台に乗る可能性もある。