粉飾決算を原因とする企業の倒産が増えている。投資の失敗などで資金繰りが悪化して粉飾決算に走り、倒産を招くケースが多発。東京商工リサーチの調査によると、こうした粉飾決算倒産は2019年1~10月の間で16件にのぼる。前年同期と比べて2倍で、18年1年間の9件をすでに上回っている。
2019年1~10月、前年2倍の16件
調査は、2019年1~10月の企業倒産から「粉飾決算」を一因とした倒産を、東京商工リサーチがまとめた。11月11日の発表。
粉飾決算は、企業が金融機関や取引先の信用維持のため決算書をよくみせるために行う。今年の粉飾決算倒産で特徴的なのは、発覚した粉飾決算の期間が15年間、10年間など、長期にわたること。金融機関に返済計画の変更(リスケ)要請する際のヒアリングや、長期の粉飾でも業績悪化を糊塗できなくなった企業が「告白」するケースも増えているという。
クラフト用品の企画・販売を手掛ける埼玉県のサンヒット(負債額2億4300万円)は、海外進出の投資失敗で抱えた赤字を隠蔽するため15年間にもわたり粉飾決算を続行。20行を超える取引金融機関ごとに決算書を作成していたが、そのうちの一つを別の金融機関に提出したことで粉飾決算が発覚したという。