世界の「分断」化はなぜ危険なのか!? 日経記者が指摘するブレグジット、米中新冷戦の問題点

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   英国のEU離脱問題(BREXIT=ブレグジット)、米中新冷戦、各地でのポピュリズム台頭など、いまや世界は次々と「分断」され、混迷の度を深めている。

   そんな「分断」の問題を正面から扱っている、本書「分断の時代 混迷する世界の読み解き方」。なかでも、ブレグジットとトランプ大統領に多くのページを割いている。

「分断の時代 混迷する世界の読み解き方」(岡部直明著)日経BP社
  • ブレグジットはいよいよ正念場
    ブレグジットはいよいよ正念場
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「残留派」だったジョンソン首相

   ブレグジットをめぐっては、メイ首相辞任後、「英国のトランプ」と呼ばれるジョンソン氏が後任となった。

   日本の自動車メーカーなどが「合意なき離脱(ノーディール)の場合」には、すでに製造部門の撤退を表明。それが現実になった場合のサプライチェーンの崩壊が懸念されているものの、ジョンソン氏登板で現実味を増すことになった。

   元来、英国と独仏など欧州大陸の国々との間には「欧州観」をめぐるズレがあり、英国はEUの主要国でありながら、欧州単一通貨のユーロに加盟せず、域内の通行自由を定めたシェンゲン協定にも加わっていない。「EUの基本理念である『主権の共有』から半歩離れた『国家主権の維持』」に英国が固執してきたからで、まるでいつか「離脱」があることを想定して、それに備えていたかのようだ。

   大陸の国々と異なる、英国民の自国観「大英帝国」幻想は、EU加盟の犠牲者と自分たちをみる貧困層にも「昔はよかった」症候群として広がり、ブレグジットへの投票動機を形成する。国民投票を実施したキャメロン元首相はもともとEU懐疑派で、離脱が選択されるならそれも構わないと考えていた可能性があり、国全体でEUの一員であることの恩恵を軽視した感がある。英国のことをよくわかっていたサッチャー元首相ならば国民投票に踏み切ることはなかったろうと、著者はいう。

   「離脱」を牽引するジョンソン首相はどうかというと、じつは当初は「EU残留派」と目されていた。それが、長年のライバルだったキャメロン首相が、残留を念頭に国民投票に打って出たのをみて急きょ「離脱派」に転向した「日和見主義者」だという。国内外の離脱反対派には、ジョンソン首相の再度の「君子豹変」に期待する向きさえあるようだ。

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