英ポンドの上昇波はまた来る! 「不可能」なブレグジットを動かしたジョンソン首相のスゴ腕(志摩力男)

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ジョンソン首相は「いい仕事をした」

   ブレグジットに失敗したメイ首相が退陣し、「合意なき離脱」も辞さないと公言するジョンソン氏が首相に就任すると、悪夢の「合意なき離脱」がついに現実となるかもしれないという恐怖から、英ポンドは一層売られました。

   しかし、「毀誉褒貶」の激しいジョンソン首相ですが、一部の反ジョンソン派の予想とは裏腹に首相はいい仕事をしました。

   メイ首相のとき、EU側は離脱協定案について「一文たりとも変更しない」と高圧的でした。ジョンソン氏に対しても最初はそうでしたが、ジョンソン氏の新しい離脱案に対しては「なかなかよい。考慮に値する」と積極的に検討しました。

   ジョンソン氏の離脱案は、当初EU側からメイ首相に提示されたものに、よく似ているようです。すなわち、メイ首相よりもEU側に妥協したことになります。しかし、その結果、ブレグジット実現を妨害していた「バックストップ」の問題はなくなりました。

   しかも、メイ首相がEUと合意した案には、頑強に反対していたハードブレグジット派の議員たち(ERG、ユーロリサーチグループと言われる議員団)は、ジョンソン首相の離脱案には賛成に転じました。膠着した英議会が、離脱案を可決する可能性が見えたのです。

志摩力男(しま・りきお)
トレーダー
慶応大学経済学部卒。ゴールドマン・サックス、ドイツ証券など大手金融機関でプロップトレーダー、その後香港でマクロヘッジファンドマネジャー。独立後も、世界各地の有力トレーダーと交流し、現役トレーダーとして活躍中。
最近はトレーディング以外にも、メルマガやセミナー、講演会などで個人投資家をサポートする活動を開始。週刊東洋経済やマネーポストなど、ビジネス・マネー関連メディアにも寄稿する。
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