生活保護の半分以上が高齢者
近年、高齢者の就業者は急速に増加している。その背景には、少子高齢化の影響による労働力不足もある。しかし、2018年の労働力調査によると、65歳以上の就業者数は862万人と前年比55万人増加(1.3%増)しているが、このうち76.3%は非正規雇用だ。
つまり、「非正規雇用でも働かなければならない」ということだ。内閣府の2015年の「高齢者の生活と意識に関する国際比較調査」では、「就労の継続を希望する理由」は「収入がほしいから」が49%で圧倒的に多い。
2019年7月生活保護の被保護者調査によると、高齢者の生活保護世帯数は89万7018世帯で生活保護を受けている全世帯の55.1%にあたる。生活保護受給者の半分以上が高齢者なのだ。
仕事は生活のためだけにするものではない。そこには楽しさや喜び、希望などがある。生活のために非正規雇用として働いている高齢者の現状を、政府はどう考えているのか。高齢者が年金だけでは生活できない現状があるにも関わらず、さらに年金受給年齢を70歳まで引き上げようとするのは、年金制度の改悪としか言いようがない。
現役世代、将来世代と年金受給世代のバランスを考えたうえで、高齢者の働き方を改善していくことで、現役世代や将来世代が年金を受給できるようにしていくことが重要だ。(鷲尾香一)