高齢者はもっと働け!!
また現在、60~64歳で年金受給を開始すると、基準額から最大30%の減額となるが、これを24%程度に圧縮することも検討されている。
確かに、この見直しは年金を受給開始年齢の65歳より前倒しで受け取る場合、これまでより受給額が増加するものの、それでも受給を75歳まで遅らせた場合には基準額の84%増になるのに比べれば、改善されるのはわずか6%程度でしかない。
在職老齢年金とは、年金を受け取りながら仕事をして収入を得ると、年金支給額が減額される制度で、現在65歳以上で年金を受給している場合は月収が47万円、60~64歳なら月28万円を超えると年金が減額される。
つまり、年金受給者は働くほど受け取れる年金が減る仕組みとなっていて、これでは年金受給者の労働意欲を阻害すると以前から指摘されていた。
そこで、65歳以上の年金受給者の場合、年金が減少する基準額を50万円台に引き上げることが検討されている。しかし、これとても「年金受給額の減額を減らすから、高齢者はもっと働け」ということ。加えて、引き上げた分の負担は若者層に圧し掛かってくることになる。
そもそも、現在でも65歳以上の年金減額対象者は、受給者全体の1.5%にしか過ぎず、ほとんどは企業の役員など富裕層であり、年金を受給しなくても生活が成り立つ層なのだ。