「日本企業の製品は買わないけど、日本企業には就職したい!」というわけだろうか?
日韓経済戦争が始まり4か月半、日本製品の不買運動は収まる気配がないが、日本企業への就職に熱をあげる若者が増えているようだ。
いったいどういうことか。韓国紙で読み解くと――。
「ゾンビ企業」が3分の1、韓国経済は破たん状態
韓国経済はいま、疲弊のどん底にある。韓国経済新聞(2019年11月6日付)「韓国企業の35%は利益で利子も出せなかった」が、衝撃的な内情を伝えている。
「営業活動で稼いだ金(営業利益)で利子費用さえ払えない企業が過去最大を記録した。韓国銀行(編集部注:日本の日本銀行に相当)が11月5日に発表した『2018年企業経営分析資料』によると、昨年(2018年)インタレスト・カバレッジ・レシオが100%未満の企業は35.2%に達した」
インタレスト・カバレッジ・レシオとは財務用語の一つで、企業の借入金等の利息の支払い能力をみる比率。150%以下になると倒産確率が高まるといわれ、100%を割り込むと、いくら稼いでも利子さえ払えなくなり、「事実上倒産している状態」といえる。韓国メディアが「ゾンビ企業」と呼ぶ会社が全体の3分の1以上に達したのだ。
このため、韓国統計局によると、2018年の若者(15~29歳)の失業率は9.5%に達した。これは、全体の失業率3.8%の2.5倍にあたり、経済悪化のひずみが若者に集中した形だ。フリーターやニート、就職浪人を含めると実質的失業率は20%を超えるといわれる。5人に1人の若者が就職できないでいるのだ。
そんななか、若者の日本企業人気の様子を朝鮮日報(11月13日付)「反日運動で2か月延期された海外就職博覧会に1000人」がこう伝える。
「ソウル市内のホテルでは11月12日、日本、米国など9か国の企業100社が採用ブースを設け、面接を行っていた。参加企業は日本企業が65社と最も多く、韓日関係悪化がうそのように面接希望者が絶え間なくブースを訪れた。ブース近くの椅子には正装した青年らが準備してきた履歴書や企業情報をチェックしていた」
今回の就職フェアは、韓国政府の雇用労働部と大韓貿易投資振興公社が、青年の就職支援を目的として開いたものだ。日本ボイコットのムードが色濃いなか、会場には韓国全土から前年並みの1000人以上の青年が集まった。特に日本企業の人気が高く、ブース前には行列が並んだ。
この就職フェアは、毎年2回開かれる韓国最大規模の海外就職博覧会で、当初は9月初めに開かれる予定だったが、日韓関係悪化で中止状態になっていた。反日ムードがやや和らいだことから、2か月後におっかなびっくり「控えめに開催した」(雇用労働部関係者)格好だが、前年並みの若者が押し寄せたのだった。
朝鮮日報は、こう続ける。
「日本企業はソニー、日産、ハウステンボスなど65社が参加。各社は外交問題などお構いなしに韓国の人材確保に集中した。日本の家電メーカー関係者は『社内には韓国人に対する差別は全くない。悪化した雰囲気の中でも志願してくれた韓国人に感謝するばかりだ』と話した。参加者のPさん(26)は『日本企業は、父母がどうしているかとか、健康状態、家庭状況などを尋ねた。韓国に帰ってしまうことがないように、長く働ける人材を探している印象を受けた』と語った」