IMF(国際通貨基金)が最新の世界経済見通しを、2019年10月15日に発表しました。
世界経済の成長予測について、2019年は3.0%、2020年は3.4%と、今年7月時点の予測から下方修正したのです。米中貿易摩擦の影響や地政学的リスクの不透明感の高まりなどが、景気低迷の要因としています。
世界経済はなお右肩上がりの状況にある
2019年の3.0%成長の予測は、「世界金融危機(リーマン・ショック)後の2009年以降で最低」となったことから、ニュースや新聞では、まるで景気が「後退」しているかのように報道されました。
投資家の中には、
「思ったとおり、相当悪くなっているな」
とか、
「やっぱり、しばらく投資は控えておこう」
と、思われた方もいるかもしれません。
確かに世界経済の成長のスピードが落ちていることは事実です。しかし大事なことは、「世界経済はプラスを続けている」ということと、「マーケットは常に先を見るもの」ということです。
経済成長がプラスであるということは、去年より今年がより豊かになっていくということです。つまり、世界経済は「右肩上がりを継続中」ということです。
人の「欲」が経済を動かす!
私たちに「より良い暮らしがしたい、より良い商品やサービスが欲しい」といった「欲」がある限り、企業はそれに応じてビジネスしようと努力します。その力を集積したものが、経済です。
下図のように、世界経済の拡大と株価とは同じように推移してきました。短期的には上にも下にも行き過ぎることはあるものの、長期でみると経済の拡大に寄り添って株価は上昇していることがわかります。
GDP(国内総生産)という大きな話でなく、より小さな視点の企業業績で見ても、同じ傾向が見て取れます。
たとえば米国企業の株価は、長期的には企業の1株当たり利益と同じように推移する傾向がみられました。そして今、米企業は全体として今後の増益が見込まれています。
相場環境が激しく変動するなか、目先の動きで一喜一憂してしまいがちですが、改めて先を見た資産運用を行ないたいものです。(日興アセットマネジメント マーケティング部長 今福啓之)