ここ数年、「プラごみ」による海洋生物への悪影響が深刻化していることで、「脱プラスチック」に向けた取り組みが世界的に活発になってきた。身近な、コンビニやスーパーなどのレジ袋やペットボトル、弁当や総菜が入っているプラスチック容器などが、それ。国内でも、使い捨てプラスチック問題が喫緊の課題として認識されはじめている。
そこで再び注目されているのが、「紙袋」。レジ袋など代替えとして、見直されているわけだ。
海を漂う「海洋ごみ」といえば......
市場調査の矢野経済研究所が手提げ袋、角底袋、平袋の3つの紙製包装材を対象に調査したところ、2017年度の国内の紙袋販売量(コンバータの販売数量ベース)は148億7676万袋(前年度比3.0%増)。18年度は前年度比2.5%増の152億4500万袋(見込み)と、市場規模を拡大していることがわかった=下グラフ参照。2019年10月16日の発表。
ここ数年、食品の包装材として利用される平袋の袋数が拡大傾向で、その伸長率も高い水準にある。これが紙袋市場の拡大につながっている。19年度には、157億袋を見込んでいる。
一方で、手提げ袋は下げ止まり感が出ているものの、角底袋については減少し続けている。平袋は食品分野の一次包装材として活用されているが、手提げ袋や角底袋は二次包装材として活用されるケースがほとんどで、昨今の「脱・過剰包装」の影響を受けているとみられる。
日本政府は「プラスチック資源循環戦略」を策定し、プラスチック廃棄物の削減に向けた具体案として、「レジ袋の有料義務化」を示した。スーパーなどの小売業を対象に、2020年4月からの義務化を実施する見通し。環境省では、「プラごみ」の象徴とされるレジ袋を、まずはターゲットとし、削減目標の達成を目指す方針を打ち出したといえそうで、これにより、ポリエチレン(PE)袋の代替需要が創出される見通し。その受け皿として紙袋の需要が増える可能性が高まっている。
ちなみに、日本財団の「海洋ごみに関する意識調査」(2018年11月発表)によると、「『海洋ごみ』と聞いて思い浮かぶものは何?」(複数回答)との問いに、74.2%の人が「ペットボトル」と回答。次いで、67.3%が「レジ袋(ビニール袋)」、63.1%が「発砲スチロール」と答えていた。