「仕事では得られない自己達成感が喜び」
このように筋トレは短い時間で高い効果を上げる点が忙しい会社員に格好のスポーツということになるが、永濱さんはさらに重要な魅力を強調した。
「40~50代というと、年齢的な身体の衰えを実感し始める時期ですが、筋トレは年齢を問わずに始めることができます。また、40~50代の会社員というと、昇進など、ある程度会社内での自分のポジションが見え始める時期です。仕事って、どんなに努力しても思い通りにいかず、成果を出せないことがあるじゃないですか。ところが筋肉は絶対に裏切りません。正しいやり方で筋トレをすれば、必ず目に見える成果をもたらしてくれます。仕事では得られない自己達成感を得られることも筋トレの大きな喜びですね」
こうした筋トレブームは、トレーニングジム以外の経済活動にも影響を及ぼしている。特に広がりを見せているのが、低糖質・高たんぱく食品ブームだ。外食産業でも低糖質メニューが多く提供されるようになった。吉野家がライザップ監修の「牛サラダ」を、ローソンが低糖質のブランパンを、ジョナサンが「糖質0麺」のタンメンを、くら寿司がシャリが野菜の「酢漬け大根」を出したりしている。
こうした糖質制限ブームの影響は、酒類市場にも表れている。糖質制限ブームでウィスキー、ブランデー、焼酎などの蒸留酒の糖質が低いことが認識されて以降、酒類全体の市場が縮小傾向にあるのに蒸留酒の市場は拡大を続けている=グラフ(2)参照。こうした動きも、アルコール消費量が多い中年ビジネスマンの筋トレブームの表れといえるという。永濱さん自身、「私がいつも飲むのはハイボールです」と語る。