「日本旅行ボイコット」した人々は他国に旅行しない
しかし、日本企業側だけが一方的に被害を受けているわけではない。韓国企業も影響を受けている。特に打撃が大きいのが、日本への旅行客が激減したあおりを受けた旅行会社と航空会社だ。
朝鮮日報(11月5日付)「他地域へ吸収されない日本旅行需要、韓国旅行会社の業績が急激に悪化」が悲惨な状況をこう伝えている。
「韓国で『日本旅行ボイコット運動』が3か月以上続いている。大手旅行会社ハナツアーの10月の日本旅行需要は前年同月を82.3%下回った。減少幅は8月(76.9%減)、9月(75.4%減)よりも拡大した。時間がたっても回復の兆しがなかなか見えない。モドゥツアーの日本商品の販売も10月は91.9%も落ち込んだ」
状況が深刻なのは、単純に日本への旅行客が減少したのにとどまらないことだ。その減少分を中国や台湾、ベトナム、タイなどのほかの地域の旅行需要に振り替えればいいのだが、日本への旅行需要が他地域に吸収することができず、旅行会社の業績が急激に破たんに向かっている。日本旅行を楽しんでいた人々は、ほかの国に行かず、旅行そのものをやめてしまったのだ。朝鮮日報はこう続ける。
「業界関係者は『日本旅行の代替旅行先はないという業界内での話が証明された。飛行時間が短く、口に合う食べ物、快適な環境を理由に日本を選ぶ旅行客は、現在のムードのせいで旅行を断念しても、他地域への旅行には出かけない』と話した。別の関係者は『旅行業界では、日本旅行ボイコット運動で最悪の状況を迎えた。通貨危機、2008年の世界的な金融危機に続き、3番目の危機が訪れた』と指摘した」
日本旅行ボイコット運動は、韓国の航空会社にも大打撃を与えている。格安航空券の日韓往復便がたった1000円という衝撃的な値崩れ現象を起こしているのだ。格安旅行サイトの「ena(イーナ)」や「エアトリ」を見ると、今年11月から来年2月にかけて、大阪―ソウル間の往復便チケットが「最安1000円」の空席が目白押しだ=下の写真参照。ただし、利用する際はチケット代とは別に燃料代や空港利用料などが必要だから、もちろん1000札1枚だけで往復できるわけではない。