花王は2019年12月4日、プレステージブランドの「est」から、「バイオミメシス ヴェール」(3商品)を発売する。肌の表面に極薄膜を形成して肌をケアする「ファインファイバーテクノロジー」(積層型極薄膜形成技術)」を具現化。花王が専用の「エフェクター」(美容液)と「ポーション」(化粧液)を、家電大手のパナソニックが高性能小型「ディフューザー」を開発した。
花王は、多様化する顧客ニーズを捉えるため、企業や消費者を巻き込んだオープンイノベーションを加速させる狙い。協業に活路を見出し、その第1弾として化粧品事業の領域から、美容家電に強いパナソニックと組んだ。
ファイファイバーテクノロジー、5つの特徴
11月1日の事業展開発表会で、花王の澤田道隆社長は、「ファインファイバーは軽くて柔らかく、自然な積層型の薄い膜を肌表面に作る技術で、5つの特徴があります」と、切り出した。
その特徴は、(1)肌と膜の段差が極めて少なく、フラットに見えてはがれにくい(2)肌に自然になじんで、皮膚上に付くと凹凸が見えにくくなる(3)肘など、関節の折り曲げるところに貼り付けても浮いてくることなく、動きに追随する(4)1本の極細の糸が空間を作りながら積層するため、毛細管現象が働きやすくベタベタしない(5)フィルムを貼っているのではなく、繊維と繊維のあいだにすき間があるため、通気性がよい――の5つで、スキンケアからシミを隠すメイクやボディケア、ボディアートへの展開を想定。
澤田社長は、「最終的には治療や医療への応用も目指したい。非常に可能性の大きいテクノロジーなので、女性の笑顔をサポートしたいですし、悩みや苦しみを持った方を少しでもテクノロジーでプラスにしたいと考えています」と、語った。
花王の「バイオミメシス ヴェール」(3商品)は、極細繊維を直接肌に吹き出し、肌に積層型の極薄膜をつくる技術「ファインファイバーテクノロジー」を応用した。
肌にエフェクター(美容液)をなじませ、「絆創膏」のような役割を果たすディフューザー(高性能小型機器)に、ポーション(化粧液)を注入。ディフューザーから吹き出す極細の繊維を手で押さえて肌になじますと、透明になって肌と一体化したようになる。
夜、就寝前にスキンケアとして利用すると、美容液を一晩中肌に浸透させたまま湿潤環境を整えてくれる。フェイスマスクが流行っているが、朝までマスクを付けたままの状態でいられるわけ。肌についた極薄膜は、手で簡単にはがせる。
花王執行役員・化粧品事業分野担当の村上由泰氏は「ファインファイバーテクノロジーから生み出される異次元の肌を『Future Skin』と名付けました。すでにいくつかの研究を進めており、事業化の準備も着々と進めています」と話した。