メガバンクはGAFAの下請けになるのか? 銀行の命運決めるデジタルバンキングの行方

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カギ握る「AIレンディング」

   銀行ビジネスのデジタル化に参入しようとしているのがIT企業だ。「AIレンディング」(オンライン融資)といわれるサービスで、法人向けでは、決済や財務情報をリアルタイムで把握するクラウド会計のデータを、個人向けでは、年収や勤続年数などをAIで分析し、貸出金利や期間など融資条件を設定するもの。

   ノンバンクのほか、楽天やリクルートなども日々の決済や口コミなどのデータから信用力を判断し、銀行を介さず貸出事業に参入している。

   銀行のなかで「AIレンディング」に踏み出したのはみずほフィナンシャルグループ。みずほ銀行とソフトバンクが出資する「Jスコア」で2017年9月から個人向け貸出を開始している。「Jスコア」は、購読新聞や英検資格の有無などまで及ぶ約150件の情報に基づいて信用力を点数化し、融資可能額や金利を決める。融資申し込みから口座振り込みまでスマホで完結。最短で即日融資が可能だ。

   みずほは20年度には、LINE(ライン)とネット銀行を開業する。こちらは、信用スコア事業、個人ローンなどもカバーされるという。

   三菱UFJフィナンシャルグループは、スマホアプリの機能充実、住宅ローン申し込みのデジタル化の開発などに加え、フィンテック子会社を設立するなど、みずほ同様、デジタル化路線に積極的。ただ、みずほのシステム自前構築とは対照的に、コスト削減やセキュリティーの観点から、GAFAの一角であるアマゾンの汎用クラウドAWS(アマゾン・ウェブ・サービス)に置き換える動きも進めているという。

   アマゾンばかりか、これもGAFAの一角であるアップルや、ほかのデジタル・プラットフォーマーも「虎視眈々と銀行業務参入を狙って」おり、銀行側の関わり方が中途半端なままだと、信用力を利用されるだけでデジタル・プラットフォーマーの下請けになる可能性もあるという。

「銀行ゼロ時代」
高橋克英著
朝日新聞出版
税別790円

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