試着の行列ができるほど盛り返した矢先だったが......
じつは、ユニクロはこの10月から大々的に攻勢に転じていたのだ。聯合ニュース(10月20日付)「ユニクロが韓国でのマーケティング強化 店舗数拡大や大幅割引など」が、こう伝えていた。
「日本製品の不買運動が始まった7月以降、新商品の宣伝も最小限にとどめていたユニクロが最近、店舗を増やし攻撃的なマーケティングに乗り出した。冬の繁忙期を前に本格的な売り上げ回復を狙っているとの見方が出ている」
ユニクロは7月に不買運動が始まってから3店舗を閉店したが、その後店舗数を増やし、現在は昨年より1店舗増えて187店舗に拡大。10月から来年の新入社員採用に向けた説明会も開いた。不買運動の影響で失墜したイメージを向上させるため、今年の説明会には新プログラムも導入された。
「また、割引セールに加え、英ファッションブランドのJWアンダーソンとのコラボレーションなど商品マーケティングにも積極的に乗り出した。10月3日から代表商品が最大で半額になる感謝セールを実施している。50%に上る割引率は異例だというのが業界の一般的な見解だ。これに加え、秋冬シーズンを迎えロングセラー商品が売り出され、オンラインストアでは一部商品が売り切れとなった。不買運動が始まってから閑散としていた店内が、最近は試着のために並ばなければならないほど混んでいるという目撃談がSNSに出回っている状態だ」
このため、ユニクロに対する不買運動もようやく弱まったという見方さえ出ていたのだ。それに一気に冷や水を浴びせたのが、10月1日に世界中に公開した人気商品フリースの25周年をアピールするCM動画だった。98歳の女性が、13歳の少女から「私の年くらいの時にはどんな服を着ていたの?」と聞かれ、「80年も前のことは覚えていない」と答える内容で、「慰安婦をからかっている」と批判されたのだった。
10月31日に記者会見したパク議員は、
「ユニクロは大規模な割引イベントセールをしているが、売り上げは改善していない。一部ではユニクロが息を吹き返しているという解釈が出ているが、実際に国内消費者の不買運動は続いている。ユニクロのCMが旧日本軍の慰安婦被害者を冒?(ぼうとく)したとの批判が出た10月18日以降の売上高はさらに落ち込むだろう」
という見通しを明らかにしたのだった。
(福田和郎)