安倍首相の「友軍メディア」が韓国を貶めている
中央日報はこう続ける。
「読売新聞は、日本政府内で一時韓国企業と韓国政府が慰謝料全額を支払えば、日本企業が自発的に韓国側に寄付する方式などの打開策も検討されたと伝えた。しかし韓国政府は大法院判決が日本企業の責任を明示しているだけにこうした案を受け入れるのは難しいという立場だ。外交界の一部では『両国が合意案を導出するためにかけ引きする過程で神経戦が激しくなっている。さまざまなアイデアの中で煮詰まっていない案をメディアに流したのではないか』との指摘も出ている」
つまり、日本政府内の「安易に韓国と妥協してはいけない」という勢力が情報を新聞にリークして対話の可能性をつぶしにかかっているというのだ。
さらに、翌日の中央日報(10月31日)「文大統領親書など隠密な外交情報、なぜ日本メディアにだけ報道されるのか」は、怒りの矛先を日本の新聞界にぶつけている。
「日本政府関係者によると、文大統領の親書には『近く二人で会って、未来志向の両国関係に向けて議論したい』と書いてあるという。10月25日付読売新聞の記事だ。親書の内容について、当時両国政府は会見で『親書をそのまま公開するのは外交慣例ではない』(韓国)、『親書なので内容を紹介しない』(日本)とした」
「それなのになぜ親書の内容が日本の新聞に漏れるのだ」と、およそ情報をスクープしようとするはずの新聞記者らしからぬ論法を展開し、こう続ける。
「最高級外交の隠密な内容が日本メディアを通じて報道されるのは初めてではない。9月25日の日米首脳会談の際のトランプ米大統領の発言も同じだ。日米双方が『具体的な対話内容は説明しない』としたのに、フジテレビが『最近韓国は北朝鮮からも信頼されていないようだ』というトランプ大統領の発言を政府関係者発で報道した」
「8月末のG7首脳会議時は首脳らが全員参加した会談場でトランプ大統領が安倍首相を見ながら『韓国の態度はひどい。賢くない。金正恩(キム・ジョンウン)になめられている』と話したという内容が産経新聞で報道された」
つまり、日本メディアはなぜか、韓国を貶(おとし)めるスクープを連発している。そして、それらをスクープした産経新聞、フジテレビ、読売新聞は「安倍政権の友軍メディア」だと指摘する。安倍政権が8年近く続き、特に首相官邸発の高級情報が友好メディアに集まる現象が加速化しているというのだ。
特に産経新聞は、7月1日に発表された日本の輸出規制強化措置でもスクープ報道した。当時、日本外務省の核心幹部は中央日報記者の取材に対し、「正直どんな部品が規制強化の対象なのかは、(産経)新聞を見て知った」と打ち明けたという。
最後に、中央日報はこう書いて悔しがるのだった。
「韓国と関連した日本政府内の動きや方針は、韓国に批判的な保守メディアに集中的に紹介されている。このほか政治部記者の数が段違いに日本の方が多いという点も無視できない要因だ。朝日新聞の場合、首相官邸担当記者だけで12人だ。韓国の新聞社の場合、青瓦台(大統領府)担当記者は多くても2人とは対照的だ。12人にのぼる担当記者が首相官邸内部の核心取材源を明け方から夜遅くまで『密着マーク』しているため高級情報への接近機会は増えるほかない」
つまり、安倍政権の情報が韓国に批判的な「お友達新聞」に集中的に流れていること、そして、日本の新聞社のほうが、韓国の新聞社より圧倒的に取材力があることが、日韓の対立で日本側に有利に働いているというのだが......。
(福田和郎)