企業経営者のあいだで、企業の社会的責任(CSR)や事業を通じた社会課題の解決に向けた取り組みを重視する傾向が広がっている。
企業の経営革新のための調査・研究を行っている日本能率協会(JMA)が、経営者を対象に毎年実施している経営課題に関する調査(2019年度版)で、明らかにした。2019年10月29日の発表。
JMAは、持続可能な取り組み(SDGs)への 取り組みや ESG(環境、社会、ガバナンス)投資が広がる中で、企業の社会性への期待に応えようとする姿勢の表れとみている。
「現在」の経営課題は1位が収益、2位に人材
調査では、2019年度「現在」の経営課題について聞いたところ、1位が「収益性向上」の44.4%、2位が「人材の強化」の41.0%だった。3位には「売り上げ・シェア拡大」(33.3%)、4位に「新製品・新サービス・新事業の開発」(25.2%)、5位「事業基盤の強化・再編、事業ポートフォリオの再構築(21.5%)となり、前回調査と変わらなかった。
ただ、1、2位がそれぞれ1.2ポイント、1.5ポイント、前回調査を上回ったのに対して3~5位は4.1~2.1ポイント前回からダウン。「収益性の向上」や「人材の強化」の重要度がさらに高まった一方、「売り上げ・シェア拡大」や「新製品・新サービス・新事業の開発」などはやや後退した。年々顕著になる傾向にある。
JMAはこれについて、米中貿易摩擦などによる世界経済の減速や、人手不足の深刻化の影響が背景にあるとみている。