英国のEU離脱「経済的にはマイナスの影響が出る」
英国とヨーロッパ大陸は長年にわたり、親密かつ微妙な関係を続けてきた。スコットランドを除く英国は、紀元前50年ころからローマ帝国に支配されたが、イタリア、フランス、スペインといった国々とは異なり、ローマ法やカトリック教会、ラテン語等々は踏襲せず、その後は小さい王国に分割された。
近代に入るとハプスブルク、ナポレオン、オスマン・トルコ、ナチス、ソ連...... というような勢力がヨーロッパ大陸で覇権争いを続けてきたが、それらは英国の提唱する民主主義、自由貿易に対する脅威とみなされてきた。
そして、今はEUがそれらと同類の脅威になるかもしれない、という話となっているわけである。
英国がEUを離脱すると、経済的にはマイナスの影響が出る、というのはそのとおりである。しかし、我々は経済だけを考えればいいわけではない。貿易などで、短期的な混乱を最小に食い止める最大限の努力をすべきことは当然として、中長期的な視点で英国とヨーロッパ大陸との関係を、どのように構築していくべきか――。そこのところの確固たる戦略を構築することこそが、現在の英国政府に求められている最大の課題であろう。(小田切尚登)