決着の兆し? 英国の政治混乱 EUとの関係を「歴史」で紐解くと見えること(小田切尚登)

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英国のEU離脱「経済的にはマイナスの影響が出る」

   英国とヨーロッパ大陸は長年にわたり、親密かつ微妙な関係を続けてきた。スコットランドを除く英国は、紀元前50年ころからローマ帝国に支配されたが、イタリア、フランス、スペインといった国々とは異なり、ローマ法やカトリック教会、ラテン語等々は踏襲せず、その後は小さい王国に分割された。

   近代に入るとハプスブルク、ナポレオン、オスマン・トルコ、ナチス、ソ連...... というような勢力がヨーロッパ大陸で覇権争いを続けてきたが、それらは英国の提唱する民主主義、自由貿易に対する脅威とみなされてきた。

   そして、今はEUがそれらと同類の脅威になるかもしれない、という話となっているわけである。

   英国がEUを離脱すると、経済的にはマイナスの影響が出る、というのはそのとおりである。しかし、我々は経済だけを考えればいいわけではない。貿易などで、短期的な混乱を最小に食い止める最大限の努力をすべきことは当然として、中長期的な視点で英国とヨーロッパ大陸との関係を、どのように構築していくべきか――。そこのところの確固たる戦略を構築することこそが、現在の英国政府に求められている最大の課題であろう。(小田切尚登)

小田切 尚登(おだぎり・なおと)
小田切 尚登(おだぎり・なおと)
経済アナリスト
東京大学法学部卒業。バンク・オブ・アメリカ、BNPパリバなど大手外資系金融機関4社で勤務した後に独立。現在、明治大学大学院兼任講師(担当は金融論とコミュニケーション)。ハーン銀行(モンゴル)独立取締役。経済誌に定期的に寄稿するほか、CNBCやBloombergTVなどの海外メディアへの出演も多数。音楽スペースのシンフォニー・サロン(門前仲町)を主宰し、ピアニストとしても活躍する。1957年生まれ。
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