21世紀の「データ資本主義」社会、日本は勝ち組に入れるのか 野口悠紀雄氏が「超整理」

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   IT化が進んで「ビッグデータ」という言葉がメディアに登場したのは2010年ごろ。当初はサンプル抽出のデータと誤差はほとんどないという見方もあり、利用は限定されていたが、その後のITの加速度的な進化で、経済活動の新しい可能性を開く存在になっているという。それはAI(人工知能)との二人三脚。AIはビッグデータによってさらに賢くなり、新しい活動を可能にしていくというわけだ。

「データ資本主義 21世紀のゴールドラッシュの勝者は誰か」(野口悠紀雄著)日本経済新聞出版社
  • 「データ資本主義」の真相は…
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グーグルは日本企業の1万倍のデータを活用

   本書「データ資本主義 21世紀のゴールドラッシュの勝者は誰か」によれば、世界ではビッグデータを原動力に大きな変化が起きているが、日本は大きく遅れをとっている。「世界最先端の動きに置き去りにされているといわざる得ない状況」だ。著者は、「『超』整理法」シリーズなどで知られる元大蔵省官僚で経済学者の野口悠紀雄さん。「(日本の)こうした状態を変えるためにまず必要なのは、いま何が起きているかを正確に理解すること」。データをめぐる状況の理解に資するため、その整理に取り組んだのが本書という。

   本書が想定する読者について野口さんは、データや情報に関する専門家ばかりではなく「日本の現状に問題を感じているすべて」の人々であるとし、専門知識などなくても読み進められるよう書かれている。

   近年は、ビッグデータやAIのほか、データサイエンス、プラットフォーム、また、巨大IT企業をグループ化した略称のGAFAやBATなど、テクノロジーについての新語が増え、こうしたことも、現状をわかりにくくしている理由の一つ。本書では、ビッグデータの「大きさ」を説明するため、情報のサイズ(容量)、「バイト(B)」から説き起こす。

   バイトの1000倍はキロバイト(KB)、さらにその1000倍がメガバイト(MB)、以後同じように、ギガバイト(GB)、テラバイト(TB)と、わたしたちが使う容量は拡大。ビッグデータの世界では、ペタバイト(PB)、エクサバイト(EB)、ゼタバイト(ZB)と続いてきている。マイクロソフトのビル・ゲイツ元会長は1981年に「パソコンのメモリは640KB以上を必要としない」と言ったそうだが、そのころは大容量の「ビッグデータ」の扱う時代がやってこようとは考えられていなかったのだろう。

   いまわたしたちが扱うデータのサイズは数GBから数TB。現代の情報環境は、ゲイツ氏が発言した80年代から40年ほどの間に10億倍に増加したことになる。このサイズだけでも「天文学的」なのだが、それはわたしたちの日常でのレベル。ビッグデータはさらにその10億倍の規模。グーグルは全世界で、米国家安全保障局(NSA)の2倍のデータを保有、そのサイズは「10ZB程度と考えることができる」という。これは、日本企業が扱っている情報の1000~1万倍とみられる。

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