冬のボーナスを支給する予定の企業約1600社に、2018年との比較を聞いたところ、ほぼ半数が「変わらない予定」(49%)と回答。20%が「増額」を予定しており、「減額予定」(6%)を大きく上回った。総合人材サービスのエン・ジャパンが2019年10月24日に発表した「冬の賞与」に関する調査でわかった。
増額予定は「金融・コンサル」がトップ
冬のボーナスについて「増額予定」と回答した割合が最も高い業種は「金融・コンサル関連」の36%。「商社」(25%)、「不動産・建設関連」(22%)、「流通・小売関連」(20%)、「広告・出版・マスコミ関連」(20%)と続いた。
「広告・出版・マスコミ関連」は、「減額予定」と回答した割合が最も高い(20%)こともあり、同じ業種でも明暗があることをうかがわせた。「減額予定」で、ほかに目立つのは「メーカー」(18%)。
従業員数の規模別で「増額予定」と回答した割合が最も高かったのは「1~50人」(25%)。「51~100人」(19%)、「101~300人」(16%)と続いた。この調査の区分で最大の「1001人以上」は、規模別では「減額予定」と回答した割合(14%)が最も高かった。
増額するという企業が予定している増額率は「1~3%未満」(26%)が最多。次いで「3~5%未満」(20%)、「7~10%未満」(10%)、「5~7%未満」(7%)と並んだ。
増額の理由は、「社員の意欲向上」(60%)、「業績が好調」(55%)が1、2位。上位2項目から離れた3位に「離職・退職の予防」(22%)、さらに「物価上昇への対応」(12%)と続いた。減額する企業が挙げた理由は「業績不振」(79%)が2位(「経営体質に向けた人件費圧縮」=18%)を大きく引き離した。
評価不透明で「モチベーションにつながりにくい」悩みも
ボーナス支給に関する悩みについて聞くと、1位は「社員への評価・賞与の査定基準への悩み」の34%で、企業からは、
「評価基準をよりオープンにしてほしいとの要望はあるが、経営者の意向もあり実現していない」(メーカー、従業員数51~100人)
「社員のスキルや実績に応じて賞与額を設定したいが、その基準をどう設定するか悩んでいる」(広告・出版・マスコミ関連、同101~300人)
という声が寄せられた。
2位は「賞与の支給額による社員モチベーションへの影響」(32%)で、
「社員同士がお互いの賞与額を共有する可能性があるため、モチベーションに影響が出る社員もでてくるかもしれない」(サービス関連、同1~50人)
「賞与支給の際に社員面談がなく、支給額だけしか分からない。何を評価されているのか、次にどこを頑張れば賞与が上がるのかが分かりづらく、モチベーションにつながりにくい」(IT・情報処理・インターネット関連、同1001人以上)
などの意見があった。
なお調査は、2019年9月12日~10月15日に、エン・ジャパンが企業向けに運営する採用支援サイト「エンゲージ」を利用して、19年の冬季賞与を支給予定の企業を対象に実施。有効回答は、1631社。