「ノーベルは財産の94%寄付、私は97%だからもっと幸せ」
日本に対する対抗心もハンパでない。「日韓経済戦争」が始まった2019年7月、韓国における唯一の「日本研究機関」であるソウル大学日本研究所が文在寅(ムン・ジェイン)政権によって補助金が打ち切られたと聞くと、イ・ジョンファン氏は2億5000万ウォン(2300万円)の支援を申し出た。イ氏は、中央日報の取材にこう答えている(『見下すことも恐れることもなく勉強してこそ日本を越える』8月5日付)。
「日本を越えようとすれば日本を正しく知る必要がある。歴史的・道徳的な優越感から日本を見下したりする。それで日本に関する研究が不足することになった。日本に勝つには日本の過去・現在・未来を徹底的に研究し、日本より先を進まなければいけない。ソウル大学日本研究所がこうした役割をすべきだが、政府の支援が中断したことを知り、これではいけないと支援を決めた」
そして、産業現場で日本企業と競争してきた経験をふまえ、日本人についてはこう語ったのだった。
「日本人は他人のものを見て模倣にとどまらず、それよりも良い新しいものを作り出す素質がある人たちだ。一人ひとりを見れば韓国人が日本人より優れているが、日本人は何か一つを深く掘り下げて研究し、その研究を産業生産に活用するのに優れている。それが集団的な力になる。したがって我々が日本の動向をよく把握してこそ産業でも遅れを取らない」
日本人の何か一つを深く掘り下げて研究する力がノーベル賞の科学分野での受賞につながっていると考えているのだ。今回の「韓国版ノーベル賞」を韓国の科学界の起爆剤にしたいようだが、中央日報記者は、こんな個人的な思いも語っている。
「私の生前に(韓国人の)ノーベル賞受賞者が一人でも出ればよいが、10年は待たなければいけないようだ。我々がずっと奮発するしかない。(ほとんどすべての財産を出して後悔はないのかとの問いに)まったくない。無限の喜びと幸せを感じる。私は財産の97%を出した。アルフレッド・ノーベルは94%を寄付して喜んだという。だから私がもっと幸せではないだろうか」
(福田和郎)