雇用慣行の変化が進むなか、若手社員の約半数が転職を検討・活動中で、定年まで勤めるつもりの社員でも6割が転職サイトに登録していると答えていることが、企業の経営革新のための調査・研究などを行っている日本能率協会の「入社半年・2年目 若手社員意識調査」でわかった。
全国の入社半年・2年目を迎えた若手社員400人を対象に、職場や仕事内容に対する考え、満足度を探る意識調査を実施。2019年10月18日に発表した。
「定年まで勤めるつもり」派も6割が転職サイト登録
調査によると、「転職に対する考え方」で最も多かった回答は、「転職することを検討しているが、特に行動していない」で33.5%。「転職することを検討し、近いうちに活動を始める予定」(12.3%)、「現在、転職活動をしている」(3.0%)を合わせると、若手社員の約半数(48.8%)が転職を検討・活動中という結果になった。
一方の半数は、今のところは転職消極派。そのうちの29.5%が「今のところ、転職することは考えていない」と答え、21.8%が「転職はせず、今の会社に定年まで勤めるつもり」と回答。従来どおりの終身雇用コースを選択した。
回答者全員に、転職サイトに登録しているかどうかを聞いたところ、46.8%が「登録している」と回答。これを転職に対する意向別にみると、「今の会社に定年まで勤めるつもり」と回答した人の60.9%が「登録」していると答えていた。
「現状では転職をするつもりはないにしても、本当に現在の会社で良いのかどうか、他社とも比較しながら情報を取ろうとしている姿勢がうかがえる」と、日本能率協会はみている。
「副業・兼業をしている」は3割
雇用慣行の変化は、働き方改革により加速した側面があるが、同改革ではまた「副業・兼業」が促進されている。今回の調査で「副業・兼業についてどのように思うか」を尋ねたところ、28.0%が「すでに副業・兼業をしている」と回答。「興味はあるが、現在はしていない」が54.3%だった。
転職に対する意向と、副業・兼業への考えの関係を見たところ、「今の会社に定年まで勤めるつもり」と答えた若手社員の50.6%が「副業・兼業をしている」と回答。転職について別の意向を表明したグループと比べ、高い比率を示した。
調査結果について、日本能率協会KAIKA(かいか)研究所の近田高志所長は「若手社員の約半数が転職サイトに登録し、転職を検討ないし活動中にあるという結果は、今や、当然のことと受け止めるべきでしょう。新しい技術やビジネスモデルが出現し、世の中の変化のスピードが一層加速するとともに、人生100年時代とも言われる中にあって、会社に自分のキャリアを委ねるという考え方は、若手社員からすると、むしろリスクがあると言えます」と述べている。
なお調査は、全国の勤続年数3年未満の就業者(20~29歳、中途採用・パート・アルバイトを除く)を対象に、2019年8月23日から9月5日にインターネットで実施した。男女それぞれ200人、計400人が回答した。勤続年数別に、1年目、2年目それぞれ200人。勤務先の従業員数別は、5000人以上=60人、1000~4999人=123人、300~999人=68人、100~299人=60人、99人以下=89人だった。