「産休は職場に迷惑をかけている存在なのか?」
J-CASTニュース会社ウォッチ編集部では、女性の働き方に詳しい、主婦に特化した就労支援サービスを展開するビースタイルの調査機関「しゅふJOB総研」の川上敬太郎所長に、この「産休中の福利厚生制度を利用した旅行は非常識?」論争の意見を求めた。
――今回の投稿に対する反応を読み、率直にどんな感想を持ちましたか?
川上敬太郎さん「投稿内容の端々に、複数の認識ズレが混ざり合ってしまっている印象を受けました。(1)上司の中の常識感、(2)職場の雰囲気、(3)労働者の権利、という3つの観点から整理したほうがよいと思います。そのものズバリの産前休暇ではなく、有給休暇の調査ですが、働く女性にとって『どうすれば有休が取得しやすくなるか』を調べたデータがあります」
「『休んでも業務カバーできる体制をつくる』『会社が有給取得を促進する』『法律で取得を義務化する』といった様々さまざまな提案の中で、最も多かったのが『取得しやすい雰囲気をつくる』でした。体制や法律ではなく、雰囲気が大事なのです。
逆にいうと、取得しづらい雰囲気こそが、休みの取得の最大のネックになっていることになります。今回の投稿を見る限り、投稿者さんの職場は、産休を含め、休みが取りづらい雰囲気があるように感じました」
――投稿者を批判する人の多くが、「産休は職場に迷惑をかけている存在だ」という前提があり、「それなのに遊ぶなんて非常識」という反発があるような気がします。こうした考え方についてはどう思いますか。
川上さん「産休は職場に迷惑をかけている、という雰囲気があれば、産休は取りづらいと思います。逆に、産休が取りやすい雰囲気であれば、産休中にどう過ごすかに目くじらを立てることもないと思います。ただし産休は、安心・安全に出産できるよう母体を守るための休業なので、職場への迷惑云々ではなく、旅行という行為が母体に負担をかける心配をふまえて『非常識』と捉える人もいるのではないかと考えます」