サッカー界がピッチ外の騒動で揺れています。
ブルガリアの首都ソフィアで開催された欧州選手権予選の会場で、観客の差別的なヤジが横行。没収試合も検討されるほどの異様な雰囲気のなかでキラリと光ったのは、「流星のごとく」出現した「元ホームレス」選手たちが見せた堂々たるスポーツマンシップでした。
差別行動に、審判は「中止にしようか?」
トラブルが起きたのは、2020年欧州選手権予選のブルガリア対イングランド戦です。試合開始早々イングランドの黒人選手に対して、観客席から猿の鳴きまねなどの人種差別的ヤジが飛び交い、さらには一部の観客がナチスを連想させる敬礼をするなど、会場は異様な雰囲気に包まれました。
試合自体はイングランドが6-0で大勝したものの、注目されたのはプレーではなく、観客席の異常な行動。試合終了直後、英国サッカー協会の会長は「最悪の夜だった」と非難しました。
One of the most appalling nights I've seen in football
(これまでサッカーを見てきたなかで、最悪の夜だった)
appalling:最悪の、最低の、ひどい
この日に行われた他の試合でも、トルコ代表の選手たちが軍隊式の敬礼をして「政治的」だと非難されたばかり。米CNNテレビは、度重なる差別的行動にどう対応するのか、「欧州サッカー連盟(UEFA)の言動に注目が集まっている」と報じました。
All eyes are on UEFA after football's night of shame
(サッカーの恥さらしな夜の後、欧州サッカー連盟の行動に注目が集まっている)
all eyes are on~:~にすべての目が注がれている、注目している
night of shame:恥さらしな夜
ブルガリア対イングランド戦は2度も中断。場内アナウンスで観客に注意が促されるほどでした。報道によると、審判はイングランドチームに「中止にしようか?」と、没収試合の提案までしたそうです。
それでも、試合続行を選んだイングランドチーム。サウスゲート監督は試合後のインタビューで「とても難しい状況でプレーを続けることで、差別に屈しないというメッセージを伝えることができた。選手たちとスタッフを心から誇りに思う」と、その心中を吐露しました。差別的行動に毅然と立ち向かうことで、サッカー大国の意地を見せたかったのでしょう。
一方、非難を受けたブルガリアは、サッカー協会の会長が辞任。さらに厳しい処分も示唆されていて、まだまだ騒動は続きそうです。