「時短は職場のお荷物という決めつけは完全な誤解」
J-CASTニュース会社ウォッチ編集部では、女性の働き方に詳しい、主婦に特化した就労支援サービスを展開するビースタイルの調査機関「しゅふJOB総研」の川上敬太郎所長に、この「時短の人は職場に菓子折りを持ってくるべき?」論争の意見を求めた。
――今回の投稿に対する反応を読み、率直にどんな感想を持ちましたか?
川上敬太郎さん「投稿者さんが勤める会社が、時短勤務者が当たり前のように活躍している環境であれば、問題にすらならない話だと感じました。一方で、まだまだ日本には同様の課題が多く、意に反して働きづらい環境を受け入れている人がたくさんいるのだと改めて思います」
――「菓子折りをもってこい」とか「旦那がいるのだから」などという上司の発言についてはどう思いますか。「パワハラでアウト」という意見がある一方、「菓子折りはコミュニケーションの大切さを訴えており、正論だ」という意見も結構多くあります。
川上さん「パワハラかどうかは、受け手側がどう捉えたかが重要なので、投稿者さんがパワハラだと感じたのであればパワハラに該当する可能性があると思います。確かに、周囲への気配りや阿吽(あうん)の呼吸というものは、人間関係を円滑にするために大切です。しかし、菓子折りを買うなど金銭を伴うことを強要するとなると、やはりパワハラの可能性が高いと思います」
「また、投稿者さんのキャリアの話なのに、『旦那がいるのだから』という指摘は完全に的外れだと考えます。旦那さんがいるか否かは関係ありません。そのような指摘がなされる背景には、働いて稼ぐのは夫の役割という旧態依然とした夫婦イメージがあり、部長さんはそのイメージに囚われているのではないかと感じます」
――「時短」=「職場のお荷物」という見方から投稿者を批判する意見が大半です。こうした時短に対する見方については、どのように考えていますか。
川上さん「フルタイム勤務こそが基本、という考え方が反転して、時短は職場のお荷物という固定観念をつくってきたと考えます。実際には、フルタイムで働いていてもお荷物の人はたくさんいるはずです。時短は職場のお荷物という決めつけは、優秀な人材が時短勤務しながら成果を出すための土壌づくりを阻害してしまうでしょう」