最近、ワークショップやSNSを通じて、よく聞かれる質問の一つ。
「投資を始める前にどんな本を読んだらいいですか?」
むかしの投資は資産に余裕がある人がするものだった。だから、資産に余裕がある人、つまりお金持ちに証券会社や銀行などの金融機関が営業をするというのが当たり前。ところが今、投資は将来のためにしなければならないものに変わってきた。
だから、お金に余裕があるからではなく、毎月少しずつでも始めてみようと思っている人が増えてきた。でも、いったい何から始めればいいのかわからない。まずは本や雑誌で勉強してから始めたらいいのだろうか?
ここで、私の投資家デビューの話を少ししたいと思う。
「毎月1万円くらいならできるよね」先輩に、そう言われた
私の両親は2人とも公務員。父の口癖は、「お金は汗水垂らして稼ぐもの!」。そんな家庭環境で育ったから、投資なんてお金持ちがやるものだと思っていた。
そういえば、「投資なんて金持ちの道楽や!」とも言っていた。頭のカタい両親に育てられたから、安定を求めて銀行へ就職した。
そして入行1日目。いきなり目の前に差し出されたのは、「投資信託申込書」。
私の頭の中は「???」。先輩からは「初任給でも毎月1万円くらいならできるよね?」と、当たり前のように言われた。
これが私の投資家デビューだ。
なんの知識もない。先輩から投資信託についての説明を受ける。そこで初めて、投資信託が投資商品であることを知った。
株式や債券に投資するなんて考えたこともなかった。そんな私は先輩から説明を受けて、日本のTOPIX連動型の投資信託を毎月1万円購入することに決めた。
理由は、毎日ニュースや新聞で指標が出ているからわかりやすい。ただ、それだけ。日本株が今後上昇しそうだとか、為替リスクがないからだとか、そんな理由はまったく考えていなかった。
私が就職したのはリーマン・ショック前。中国やインド、ブラジル、ロシアの「BRICs」といわれる新興国の経済発展が進んでおり、世界経済は上昇傾向だった。だから、購入してすぐに利益がどんどん出た。利益が出るのを見ていると、このまま上がり続けるような気がした。
その半面、頭では「投資は損失が出ることもある」とわかっていたつもりだった。