東京株式市場の日経平均株価は、大きな下落を見た8月から一転。9月は大きく上昇しました。8月の3.8%の下落に対して、9月は約6%の大幅な上昇です。
そんななか、正直「またか......」と、少しガッカリしてしまうようなことが起こっています。正確な数値は10月にならないとわかりませんが、たとえば身近な日経平均株価のインデックスファンドは、これまで同様、株価の上昇に合わせるようにして、解約が増えている気がしています。
考えるべきは、大きく構える「THINK BIG」!
日々売買できる投資信託の「使い方」に、資産運用会社である日興アセットマネジメントが注文を付けるのはおかしいかもしれません。それでも、やはり伝えたいことは、市場に対して「大きく考える、大きく構える」という「THINK BIG」の考え方です。「長い目で見る」という言葉に置き換えてもいいかもしれません。
下のグラフは、日本全体の日経平均連動型インデックスファンドの売買動向です。上に伸びている棒線が買付金額で、下が解約金額です。常に上と下がありうるグラフですが、一緒に描かれた線グラフの日経平均株価の動きと合わせて見てみると、株価の上昇が大きい時には、決まって解約も多くなる傾向が確認できます。おそらく9月は、大きな解約超の1か月になる「予感」がします。
株価が上昇して、含み益が出るといわゆる「利益確定」をしたくなるのは、投資家の心理としては、ごく自然なことで、責められるべきことではありません。
値下がりしていた株式が買い値に戻った時に(やれやれ...... とばかり)売りたくなる「ヤレヤレの売り」という言葉があるほどです。
機敏な売買を楽しむには投資信託は不向きだ
しかし、同時に気付いてほしいことは、このグラフの起点と現在を比べると、株価が約2倍になっていることです。多くの人がこの期間に買ったり売ったり、また買ったりしているなか、この期間の最初から最後まで、どっしりと持ち続けた人は、資産を倍にしているのです。
場合によっては、発生する買い付け時の申込手数料を払いながら、頻繁に売買することと比べて、大きく考え、大きく構え、どっしりと市場に居続ける投資スタンス――。それが「THINK BIG」という考え方なのです。
こう言うと、「一たん売却しないと下がるかもしれないじゃないか!」という声が聞こえてきそうです。しかし、長期的に上がり続けると大きく構えられない投資対象には、もともと投資すべきではありません。
もし、機敏な売買で利益を積み重ねたり、売買自体を楽しんだりしたいのであれば、そもそも1日に一度しか値段(基準価額)が決まらない投資信託は不向きで、個別株式や上場投信(ETF)に「分がある」のです。
値動きが大きい最近のマーケット。だからこそ一度、こうした原点に立ち返り、自らのスタンスについて考えてみてはいかがでしょう。(日興アセットマネジメント マーケティング部長 今福啓之)